CP短編
□迷路
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「お、こっち見た!やっぱそうだよ!ユノユノだ!うわッ〜やっぱ、すっげーイケメンッ!」
遠目から眺めても、横顔だけでスターのオーラを放つユノに、同性ながら憧憬の念で兄が興奮する。
「くっそぉ、いいな〜彼女居るんだ〜…そりゃそうだよな…」
何故か悔しそうに呟く弟からは、キャップを目深に被ったユノの肩に載せた長い髪の後姿だけしか見えない。
海が見える堤防に腰を下ろすカップルは、一幅の絵のようにさまになっている。
そっと肩を寄せる後姿からも、手を繋ぎ仲睦まじい様子がわかる。
そんな二人に気付かれていないことを幸いに、弟は携帯電話を用意し出来る限り近づいた。
――よし!今だ、いただきッ!
フラッシュが焚かれ、カップルが驚いてこちらを見た途端に兄弟は一目散に逃げ帰る。
「やった!すげ〜ッ!東方神起のユノと彼女の密会現場を激写したぞ〜!」
全力疾走で逃げていた兄弟は、二人が追って来ないことを確認して息を整える。
「はぁ、はぁ…さ、すがに、ユノユノの彼女、ものすげぇ美人の可愛い子ちゃんだったなぁ?兄貴!」
弟は撮ったばかりの携帯画像を確認して満足そうに保存した。