宿舎
「ヤバいッ…こんなんじゃ追いつけない…」
フォーメーションが決まり、プロモーションDVの撮影を数日後に控えたある日のこと、ジェジュンは、少し焦り気味に帰宅したばかりのユノを捕まえた。
「ユノ、悪いけどさ、オレに個人教授して!」
「個人教授ぅ?」
聞き慣れない語彙に、ギョッとした瞳を向けるユノは、心細げに揺れる瞳のジェジュンから目が離せない。
フッと親しさが籠もる笑顔になると、
「個人レッスンってことだろ?いいよ。やろう」
さして広くない宿舎の共同部屋でステップを踏む。
小さなテーブルやら、椅子、ソファ、踊る二人の足に蹴飛ばされながらスペースを拡げていく。
丁寧にステップを振りを教えてくれるユノから必死で吸収しようとするジェジュン。
鏡がないから完全に合っているのかはわからない。
そのうち、ユノから「一人でここまでやってみて」と言われ、ジェジュンは一人で振りを始める。
「あ!そこは右手がこっち」と、背後に回ったユノがジェジュンの腕を掴んで引き寄せると、背中に感じる温もりに一瞬心臓が跳ね上がる。
レッスンから帰ったばかりのユノの体臭はなんとも甘く、ジェジュンの鼻腔をくすぐった。