長編

□scene.10
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「ユノぉ〜やだぁああッ……」

「兄さ〜ん…置いてかな…」


部屋の扉を閉じるときに、盛大に始まった酔っ払いの泣き声が遮断された。






「あいつら…まったく、何なんだ…」


――ジュンスが熟睡してくれていてよかった。

ユノはホッとしながら空いてるベッドに寝転ぶ。


「チャンミナ、悪かったな…」

「いえ…ユノ兄さんこそ、災難でしたね」


チャンミンが先ほどの光景を思い出したのか、声を出さぬよう笑いを噛み殺しているのがわかる。

酒を飲んだわけでもないのに、まだ匂いが漂っていた。


「…ヒョンたち、お酒の力を借りないとなかなか本音が吐けないんですよ」

「本音ったって、なんでキスするなとか、部屋換えたのがキライなのって…意味わかんね」

「はぁ〜…」

チャンミンが、大きなため息を吐く。


「…ま…そうですね。ユノ兄さん、おやすみなさい」

「あ、おやすみ、チャンミナ…」


チャンミンの残した大きなため息が気になったが、それより明日に備えての睡眠が大事と、ユノは眠りの中に自分を解放した。

2日後には中国大連での招致アーティストとして初コンサートを控えている。
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