長編
□scene.10
1ページ/11ページ
「ユノぉ〜やだぁああッ……」
「兄さ〜ん…置いてかな…」
部屋の扉を閉じるときに、盛大に始まった酔っ払いの泣き声が遮断された。
「あいつら…まったく、何なんだ…」
――ジュンスが熟睡してくれていてよかった。
ユノはホッとしながら空いてるベッドに寝転ぶ。
「チャンミナ、悪かったな…」
「いえ…ユノ兄さんこそ、災難でしたね」
チャンミンが先ほどの光景を思い出したのか、声を出さぬよう笑いを噛み殺しているのがわかる。
酒を飲んだわけでもないのに、まだ匂いが漂っていた。
「…ヒョンたち、お酒の力を借りないとなかなか本音が吐けないんですよ」
「本音ったって、なんでキスするなとか、部屋換えたのがキライなのって…意味わかんね」
「はぁ〜…」
チャンミンが、大きなため息を吐く。
「…ま…そうですね。ユノ兄さん、おやすみなさい」
「あ、おやすみ、チャンミナ…」
チャンミンの残した大きなため息が気になったが、それより明日に備えての睡眠が大事と、ユノは眠りの中に自分を解放した。
2日後には中国大連での招致アーティストとして初コンサートを控えている。