日本へ向けての用意を進めながらも、本国での番組を消化するメンバー。
ファンミーティングでは、間近に見る彼らの姿に泣き出すほど感動してくれるファンを目のあたりにする。
「こんにちは!「東方神起ですッ!」」
「きゃ〜ッ!!」
元気をくれる歓声に負けないくらい、頑張らなければ、期待に応えなければ。
この先、長い時間待たせなければならない運命をファンに強いらなければならない。
自分たちと会って喜んでくれるファンが愛しい反面、メンバーは微かな不安にかられる。
互いに架せられた過酷な運命も、5人でなら乗り越えて行く覚悟はあった。
そんな舞台で、珍しくジュンスの声が掠れ高音が途切れる。
そればかりでない、センターから後方に戻るチャンミンが、何度も小さく躓く。
メンバーがハラハラ見守る中、とうとう尻餅をついてしまう。
――どうしたんだ?
心配して見守るユノに、チャンミンは照れくさそうな笑顔を渡した。
ファンを安心させ笑い声を誘うと、上手にその場を取り繕った。
決して手を抜いてのことではないことは分かっている。
精一杯のパフォーマンスの中で一人一人が、課せられた過度な疲労にすら気付けないほど肉体的に追い込まれていた。
一通りの、チープではあるが手作り感漂うファンミーティングを終え、次の現場に移動しようとする舞台裏。
突然、ユチョンの押し殺した悲鳴が響く。
騒然とする楽屋までの暗い廊下。
幾重にも取り巻かれる人垣を掻き分けながら核心に到達したユノが息を呑んだ。