ユチョンは、非常に繊細で感受性が強く情緒が不安定なところがあった。
そのあたりはジェジュンと似ていなくもないのだが、練習生として、上下関係を重んじ、基礎を叩き込まれていた他のメンバーとは決定的に違っていた。
すぐ甘えがでる。感情の起伏を顔に出してしまう。
東方神起としてのデビューを目前に各方面からの"自分勝手だ""生意気だ"との苦情に、ユノは困り果てた。
リーダーとして周りの大人に義を貫き自分に厳しく接するユノに対しては、ユチョンは剥き出しの嫌悪感を隠さない。
アメリカで思春期を過ごしたせいなのか、自由を好み堅苦しい上下関係を軽視する傾向もあった。
「なんだよ!そんなに歳も違わないのに、なんでリーダーだからってアンタの指図を受けなきゃならないんだよッ!」
「…ユチョン、そんなわがままが通る世界じゃないんだ。芸能界ってのは華やかな表面とは裏腹に、上下関係は絶対なんだよ」
「そんなこと…わかってるよ!」
「わかってるなら、やれよ」
他のメンバーは、ユノに対してだけ反発を繰り返すユチョンが不思議だった。
ユチョンも頭では、ご尤(もっと)もだ、と理解できるユノの諌言は、何故かどうしても受け入れられない。