長編

□scene.11
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宿舎

「いい匂いだな…」

朝から食欲をそそる匂いに誘われるように、洗面所からユノがキッチンに直行する。

「あ、おはよう!ユノ…」

「おはよう、ジェジュン…チゲ?」

「うん。今日は出るまで余裕があるから、久しぶりに作ったんだ」

「うまそ〜」

「たまには、手料理の方がいいだろ?」

多忙を極める毎日で、少しでも睡眠に回したい時間だろうに、ジェジュンの心遣いがユノは嬉しかった。

「そりゃ、ジェジュンの料理が一番だよッ」

ユノに褒められ、ジェジュンの頬が嬉しさで緩む。

「出前もいいけどさぁ、ユノは外食多くなるとすぐに口内炎が出来ちゃうから…」


――ジェジュン、気にしてくれてたのか…


唯一の同い年同士、1ヶ月も変わらないが少しだけ年上のジェジュンに、ユノは改めて頼れるありがたさを感じた。

他のメンバーには決して出すことができない弱音も、ジェジュンの前だと素直に吐き出せる。

自分がリーダーとして突っ走ることができるのは、ジェジュンが細かいところまで見てフォローしてくれるからだ。


「ありがとう。ジェジュン…俺を甘えさせてくれて…」と、その背中を抱きしめ、髪に顔を埋める。


背中にユノの温もりを幸せに感じ、ジェジュンは胸が熱くなる。


「ユノに甘えられるのは好きだ。だからもっと甘えてくれよ…」

「ああ…。すまないな」

「いいんだよッ!だって、オレ、ユノのこと…好きだから…」
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