長編
□scene.11
2ページ/8ページ
宿舎
「いい匂いだな…」
朝から食欲をそそる匂いに誘われるように、洗面所からユノがキッチンに直行する。
「あ、おはよう!ユノ…」
「おはよう、ジェジュン…チゲ?」
「うん。今日は出るまで余裕があるから、久しぶりに作ったんだ」
「うまそ〜」
「たまには、手料理の方がいいだろ?」
多忙を極める毎日で、少しでも睡眠に回したい時間だろうに、ジェジュンの心遣いがユノは嬉しかった。
「そりゃ、ジェジュンの料理が一番だよッ」
ユノに褒められ、ジェジュンの頬が嬉しさで緩む。
「出前もいいけどさぁ、ユノは外食多くなるとすぐに口内炎が出来ちゃうから…」
――ジェジュン、気にしてくれてたのか…
唯一の同い年同士、1ヶ月も変わらないが少しだけ年上のジェジュンに、ユノは改めて頼れるありがたさを感じた。
他のメンバーには決して出すことができない弱音も、ジェジュンの前だと素直に吐き出せる。
自分がリーダーとして突っ走ることができるのは、ジェジュンが細かいところまで見てフォローしてくれるからだ。
「ありがとう。ジェジュン…俺を甘えさせてくれて…」と、その背中を抱きしめ、髪に顔を埋める。
背中にユノの温もりを幸せに感じ、ジェジュンは胸が熱くなる。
「ユノに甘えられるのは好きだ。だからもっと甘えてくれよ…」
「ああ…。すまないな」
「いいんだよッ!だって、オレ、ユノのこと…好きだから…」