長編

□scene.12
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…ユノ……スキ……

遥か遠くで声がする。


――ダレ…?…


耳から微かに聞こえる恋愛映画の音声と重なりあい、ユノは夢の中で残像の少女に抱きしめられた。


「アイシテル…ユノ……」


唇に触れた柔らかく心地よい重みが妙に生々しく、深く割り挿れられた熱い舌を夢中で追ううち身体の芯が熱を帯びる。


「は…ぁ……ゆ……ぉ…」

熱い舌を吸い合う濡れた音に交じって吐息交じりの声が間近に聞こえ、ユノを昂ぶらせる。


――キミハ、ダレ…?


夢うつつのまま、抱きしめていた少女が実体を持つ。

目が覚めてからもユノはしばらくの間、自分の腕の中の人物が誰だか分からなかった。


「……!…ジェ、ジュン…ッ!?」


気付いた時にはソファから転げ落ちそうなほど驚いた。
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