ひたむきヒロイン

□第伍話
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ララは…



歌い続けた…


まるで俺に気づいていない


ララの瞳はグゾルを写していた。



でも歌を歌っているララの瞳は悲しさに満ちていた。



なんで?






美しい


造花の歌声が響く




でも悲しい歌


でも優しい歌


でも辛い歌


でもやっぱり悲しい歌…









―――――
―――




「泣いているのか…?ララ」



グゾルはララに聞いた。

ララはグゾルの言葉にキョトンとしている。




「変なこと聞くんだね、グゾル」



「何か…悲しんでいるように聴こえた…」



「私は人形だよ…?」



ララは悲しそうな顔で言った。

それを見兼ねたキリクは口を開いた。



『人形にも感情があっても可笑しくない…
俺にも悲しそうな歌声だった』



「クス…二人とも可笑しい!私は人形だもの…
きのせいよ」



ララはまた、悲しそうに微笑んだ。



「ねぇグゾル
どうして自分が人形だなんてウソついたの?」



『ウソ?』



グゾルはララに質問をされて、1時沈黙があった。





「私はとても…醜い人間だよ
ララを他人に壊されたくなかった
ララ…ずっと側にいてくれ
そして私が死ぬ時、私の手で、お前を壊させてくれ…」



グゾルの言葉にララとキリクは目を見開いた。

だがララは手を伸ばしグゾルに抱き着いた。



「はいグゾル
私はグゾルのお人形だもの」



グゾルに抱き着いたララは笑っていた。



『っ!』



それを見たキリクは胸がモヤモヤするような苦しみ

イライラするような怒り

チクチクするような不安が込み上げて来た。



『(ララは…それでいいのか…?)』



キリクはそうララに聞きたかったが、上手く口を開けなかった。




「次は何の歌がいい?」



そう聞いたララにグゾルは涙を流した。



「私は醜い…
醜い…人間…だ」




グゾルは涙を止める事なく流した。


この涙が全てを流してくれれば良いのに…


と思う程…








ザッ





そこに誰かが入って来た



『(ララの事がバレた!?)』




キリクも気配に気づかなく、素早く振り向いた。



『!?』




そこにいたのはキリクがよく知る人物だった。








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