雫石
□第肆話
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『あ、歩美…』
『彼方!!』
談話室に入って来たのは彼方と優奈とアレンだった。
「アレン、反対側は?」
「あ、はい…見ましたが、いませんでしたよ…」
ラビの声に俯きながらアレンは言った。真実を知ってしまった今は目を合わせて言うことすら出来なかった。
『ってか、何で探してんの?』
『ん?いや、ね…エミリさんがノアの一人と遭遇した所を彼方が見たらしいから、真実を見にね』
『へぇ(…ん?じゃあ、あたしが見たのはティキだったのか)』
「エミリがノアと一緒にいるはずがねぇさ。やっぱり見間違いだろ」
認めたくないのか、ラビは彼方に冷たい目で見下ろし、睨んだ。
『……』
しかし、彼方は動じずに睨み返した。
「…っラビ。エミリが見つからない限り、分かりませんよ。もし、裏切っていたら…」
「っアレン!エミリを信じてないんさ?!」
「僕は…っ」
真実を知ったから、と言おうとした口を閉ざす。この場にはリナリーとミコトがいる。拒絶される事が怖いんだと思う。
「アレン?どうしちゃったんさ?もしかして、コイツに何か言われたんか?」
『はぁ?』
心配そうにアレンを見て、彼方に指を差す。
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