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午後8時

駅前から少し離れた、老舗の店舗が並ぶ商店街の一角にあるライブハウスに、彼女たちはいた


薄暗いダウンライトのライブハウスと、これから始まるであろう彼女たちのショーがマッチしていた




一曲目からアップテンポでハードロックなsound・そして七色ボイスの歌声



此処から始まるShow time
この思いは渡さないわ
すべてを受け止めてよbaby
まだまだ物足りないわ


美晴の声に合わせて、姉の千晴のエフェクトが響く。そのあとに聞こえるのは、大人しい見た目とは裏腹にツーバスを操れるあすかのドラム、そして重低音を奏でる優奈のベース、派手さはないがサポートしてくれるキーボードのさくら



この5人こそが地元でも割と有名な、知る人ぞ知る"5th Aveanue"である



「なーんか、まだいまいちパンチが足んねぇだよなぁ」

そう言ったのは金髪にピンクメッシュヘアの優奈だった


「美晴はさ、もっとガツンと歌っちゃっていいと思うよ」

【私は、ほら声が高いからデスボイスはちょっと苦手…】

『音域を広くしたら?そしたら七色ボイスがもっと七色になるでしょ』


どこからともなく取り出した板チョコを食べながらさくらが言った


(もう一回練習してみる?みんなが納得いくまでやろうよ。私も頑張るからさ)

さらさらとノートに書いて優奈に見せたあすか。あすかは親からの虐待によりストレス性の失声症を患っていた


「お前は頑張りすぎなんだよ。そんな力入れなくても叩けるだろ?」

優奈に軽くあしらわれてしまった


<わかった。あすかの言うとおり、もう一回合わせようよ>

メンバーの中でいちばん冷静な千晴が言った






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