永遠の自由落下
□再戦
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しゅっ、しゅっ、しゅっ・・・
広く使い勝手のよさそうな部屋。部屋の主の奇妙な「コレクション」さえなければ、非常に居心地のよさそうな部屋だ。
そこに、目にもとまらない速さで空中に蹴りを繰り出す者がいた。
シャドームエタイはルッスーリアの毎朝の日課。これがないと一日が始まらない。
「おしまい♡」
誰もいないのに、語尾にハートが付いている。やはり彼は生粋のオカマだ。
気持ちのいい朝を迎えるため、彼は厚いカーテンを開けた。
その瞬間、スクアーロとハヤブサ,野次馬たちが目に入った。
ハヤブサは剣を逆手に引きぬき、スクアーロが勢いよく振り下ろした剣を受け止めた。
ハヤブサはほとんど完璧にその衝撃を受け流し、スクアーロの剣を軽くはじく。そのまま頭上に剣を振り上げ、空中で剣を離した。
スクアーロの気がそれている間に、蹴りを繰り出すが、あっさりとかわされる。
動じることなく、空中で剣を順手に持ち替え、その勢いで剣を回すように横から斬り付ける。
ガチン!
スクアーロはそれを左手首で受けた。硬質な音が、彼の左手が生身ではないことを示した。
そこからハヤブサは一気に攻勢に転じた。休むことなく剣をふるい続ける。直前までスクアーロがそうしていたように。
キーンキーンキーン!!!
金属音が続く。攻めるハヤブサの剣と受けるスクアーロの剣とがぶつかる音。
音の間隔は徐々に狭まり、次第に一つの長音のように聞こえ始める。
少しずつスクアーロが引き始めた。
口元に笑みを湛えて。
野次馬たちはじっと見守っていた。否、戦いのあまりの激しさに、ただ呆然と眺めていることしかできなかった。
彼らだって、泣く子も黙るVARIAの一員だ。
しかし、それでも、二振りの剣を目視できるものはおらず、霞む銀をかすかに目に映せたものが者が2,3人いただけだった。