居候
□再会
1ページ/3ページ
ショップの照明で煌めく夜の街。もう日付はとっくに変わっているというのに、街は人であふれかえっている。
その中を、黒いロングコートを翻して颯爽うと歩く人物が1名。銀の長髪、高い身長、何にもましてその鋭い目。もっと注視されてもいいはずである。それでも誰も彼に目を止めないのは、彼が気配を消しているからに他ならない。
人ごみの中を止まることなく歩いていた彼が、道の半ばで足を止めた。
「ファルコかぁ…?」
彼が声をかけたのは、道の端でうずくまる、毛先の跳ねた黒髪の女。
ファルコと呼ばれた彼女はノロノロと顔を上げると、うつろな瞳で彼を見つめ返した。
「スクアーロ…?」
「あ”ぁ。てめぇ、こんなところで何を…?!」
ファルコは男の名を呼ぶと、蹲ったままの状態で泣き始めた。
「…お前、酔ってんのかぁ?」
ファルコは頷いたように見えた。
泣きやむ気配のないファルコに、スクアーロは深くため息をついた。
「ったく…」
午前0時12分。街を行くものは、誰ひとりとして彼らに注意を払わなかった。