居候
□終焉1
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それから三カ月の時が流れた。
「おはよう、ファルコ」
「おはよ、レイン」
「朝飯でけたよう。」
「あっ、今日うちの当番日だったのに!」
「いいって、この前もその前も私が寝坊してファルコが作ってくれたし。」
そこへ、遅れてスクアーロが起きだしてきた。
「よぉ、ファルコ」
「よっ、スクアーロ」
「…」
「…」
スクアーロとレインは視線を交わしたが、それ以上に深く会話をするでもなく、互いにすぐに目を逸らした。
ファルコが呆れたように席に着くと、二人もそれに倣った。
レインがレタスを口へ運びながらファルコに話しかけた。
「ねぇファルコ、今日街に買い物行こうよ。」
「えー、めんどくさ。」
「何でだ!」
「だってレイン、100%うちで遊ぶじゃん。」
「ちぇーっ」
会話が途切れると、今度はスクアーロがファルコに話しかけた。
「なぁファルコ、今日はいつもと味が違うなぁ?」
「…ん?」
スクアーロの一言で、もとより過ごしにくかった場の空気がさらに険悪なものになった。
「…今日は私が作った。」
レインが視線をトーストにのせたまま言った。
「…」
そこで会話は途切れ、3人は黙々と朝食を取り続けた。誰も見ていない朝の情報番組の女子アナだけがはしゃいでしゃべり続けている。
レインがちら、とスクアーロを見やると、偶然二人の目があった。
スクアーロはわざとらしく目をそむけ、見る気も無いテレビに注視しているふりをした。
レインも、自分と朝ごはんしかこの世に存在していないかのような態度をとる。
ファルコがいなければ、この家から会話が無くなっていただろう。
ファルコとレイン。ファルコとスクアーロ。ここにあるのはその2つの繋がりだけで。
これが、この3カ月ですっかり『当たり前』になってしまった『日常』。