永遠の自由落下
□一員
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「ルッス姉、無理です」
「えー、これもだめなのー?」
「すみません…でもやっぱりスカートは…」
ルッスーリアは残念そうに隊服候補だった服を吊しなおした。
天音とルッスーリアは連れ立って邸内の倉庫のような所に来ていた。天音の隊服を選ぶためである。
女子隊員がいないというわりには豊富に揃えられているのだが、未だに決まらない。
最初に天音が選んだ通常の隊服は「可愛くないわぁ!」というルッスーリアの一言で却下され、以降ひたすら服を合わせ続けているのだ。
「これはどうかしらん♪…あら、サイズが大きすぎたわね」
「何か、すみません…」
「いいのよ、お洋服選びは女の子の楽しみなんだから。私も楽しいわよ?」
「私、洋服選ぶの苦手で…」
「そうなの?じゃあ今度一緒に買い物いく?選んであげるわ。」
「本当ですか?」
そんな会話をしながらも、ルッスーリアは服を選ぶ手を止めない。
それでも中々天音がうんと言わないのは、ルッスーリアがミニスカートばかり出してくるからだろう。
「困ったわねぇ…天音ちゃんはどんな風なのがいい?」
「できればズボンが…」
「そうしてあげたいのは山々だけど、無理よ。」
「え??」
「リクエストが沢山きてるの。」
「りくえすと…?」
ルッスーリアはどこか楽しそうに言う。彼…彼女は新人隊員を可愛くコーディネートするのは私よ!と張り切っている。
「これなんかどう?」
そう言ってまたスカートを差し出したルッスーリアは、天音の視線がある隊服に注がれていることに気付いた。
「ルッス姉、私」
「コレがいいの?」
「はい!」
天音が見ていたのは、パンツの上にスカートを重ねるレイヤードタイプの物だった。
「うん、確かに天音ちゃんに似合うと思うわ。着てみてよ。」
「はい!」
天音はすぐさまお気に入りの隊服に身を包んだ。
ちなみに、天音のなかではルッスーリアは女の子なので、その場で、だった。
「可愛いじゃない!あ、ブーツとかも見繕ってあげるわぁ!」
服を選びながらきゃいきゃいはしゃいでいるルッスーリアは、天音以上に乙女だ。
全身そろえおわった天音を見て、ルッスーリアは満足気に頷いた。
「これでいいわ!」
「ルッス姉、ありがとうございました!」
天音は深々と頭を下げた。
「いいのよ。さ、他のも決めちゃいましょう!」
「…他の?」
「返り血とかもつくし、スペアが必要でしょ?」
「でも、これと同じのでも」
「だめよ!リクエストがあるの、他のはスカートにするから!」
「…!」
「ほら、これとこれでどう?」
以降、いつのまにか拒否権の消えた天音とルッスーリアは、延々服選びをしたそうだ。
自分以外の(?)女子が珍しいルッスーリアに、天音がいいように遊ばれた、と言えなくもない。