□貴方に菓子を 貴女に花を
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「………気のせいじゃない?」

妙な間が空いた所為かザクスの視線が痛い。
確かに去年に比べて数は多い。だがそれはザクスには関係の事であって、話す義理もない筈だ。

視線を逸らして背を向ける。
早いとこ冷蔵庫に避難させなければ…。
そんなことを考えていると後ろからヒョイッと皿を奪われて、あまり動けないようになのかお腹に手を回された。

「Σなっ!コラ、返しなさい!ザクス!」

手を伸ばしても、私よりも背の高いザクスに手が届くことはない。
しばらくそれでも葛藤しているとギュッとザクスが腕に力を込めたので抵抗するのを中断した。

「…ザクス?」

「・・・」

いつもなら煩く文句やらを言うのに、何故か無言のままなので恐る恐る名前を呼んでみたが反応はない。何を企んでいるのやら…。

「増えた二つは誰にあげるんです?」

「…ザ、ザクスには関係ないでしょ」

「――…そーですか」

何故かザクスの声のトーンが急に落ちた。
そんなあからさまに落ち込まれるとなんだか良心が痛む…。いや、ここで折れたらザクスの思う壺だと私は私に言い聞かせた。

「―仕方ないですね。言って頂けないのなら、」

「?」

「 全部食べます 」

「Σ!!!?」

お腹に回っていた腕が解かれ、ブラウニーを一切れまた掴んで食べようとするのを慌てて押さえた。
腕を押さえても、首を前に出して食べようとするザクスを見て私は思わず叫んだ。

「わかった!言う!言うからストップっ!!!」

そう言うとニヤリと笑ったザクスの顔を見て、してやられた、と思いつつ力が抜けた。
 
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