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□Do not you tell the desire?
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私は恋をしていると思う。何故断言しないかというと、自覚が無いからだ。あるといえばあるが、それが本当に恋なのかは分からない。もしかしたらただの幻想かもしれない。でも私はこの複雑な感情と状態を恋ではないかと思っている。この感情は辛い。そして何よりも苦しい。いつまで経っても慣れない窮屈感から早く解放されたくて仕方がない。ただそれだけの為に私は、恐らく「恋」であろう状態をある人に晒したかった。だからこうして彼を呼んだのに、いざとなると言葉が出てこない。誰もいない静かな公園のベンチに二人で腰をかけてもうどれくらいだろうか。


「……どうしたの?何かあった?さっきから呻き声ばかり発してさ…」
「あるよ…それを伝えようとしてるんだけど…言葉が、見つからなくて…」
「言葉が見つからないってことは言いたくないことなんだろうね…だから、無理に言わなくていいよ」
「違うのっ、言いたいの…言いたいん、だけ…ど……」
「…僕はずっと待ってあげるからさ、まずは落ち着いてよ」


チェレンくんの顔が見れない。私は俯きながらスカートをぎゅっと握りしめる。こんなにも傍にいるのに、話すことは出来るのに、伝えることはこんなにも難しい。少ない言葉のレパートリーから、適切な言葉だけを丁寧に選んで組み立てて、それを小さな声で話していく。


「あ、のね…ずっと、言いたくて仕方なかったの…」
「うん…」
「でも、ね…これから先のことを考えると、なかなか言い出せなくって…気まずくなるんじゃないかって、不安で…」
「…」
「言ったら、凄く楽になれると思うんだけど…代償がまた辛いから…気まずくは、なりたくないから……」


握りしめていたスカートを解放する。私はどれくらいの力を入れていたのだろう。そこにははっきりと皺が刻まれていてなかなか元に戻らなかった。


「…僕は気まずくなんてなるつもりなんてさらさら無いよ。例え、どれだけ自分にとってマイナスな発言でもね」
「チェレン、くん…」
「だから…安心して言っていいよ」


それを聞いて何かが吹っ切れた。私は長年言おうか躊躇っていた言葉を、それは無造作にすんなりと発しようとする直前にまでなったのだ。口から出かけた言葉を飲み込んで、ベンチから立った。風はこんなにも優しい。靡く髪なんて気にせずに、私は決意した。きょとんと私を見るチェレンくんの目を捕らえて、想いを晒け出した。


「私は、チェレンくんのことが…」


Do not you tell the desire?








―――――――
笹凪雪さんへ!
要望に沿えてない気がしますがよろしければ受け取って下さいませ^^
リクありがとうございました!
(110113/藤咲)
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