ぎんたま

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※ちっこいころの神楽と星の王子さまな神威
※過去捏造(神威が星海坊主と戦ったあと)
※ファンタジー要素(?)あります








その日は朝からくもりでした。
ぶあつい雲は、今にも泣き出しそうにかまえる赤ちゃんのようです。
神楽は空を見上げて、むう、とうなりました。
雨はふるかな。
ひさしぶりに、外でおふとんをほしたいなあ。
「………」
少し考えて、神楽はふとんをほしました。
今日は久しぶりに雨がふっていない日です。少しでも太陽のめぐみをうけなきゃもったいないと思いました。
雨がふればおふとんを取りこめばいいのです。
今日はかさをささずにすみそうです。
神楽はぴょんぴょことびはねながら、せまい物干し台のまわりを回りました。






けっきょく、雨がふることはありませんでした。
遊びに出ていた神楽は、夜になったので、スキップしながら家に帰っていました。
このままずっと雨がふらなくて、いつか太陽が見れるといいなあ。青い空は、どんなキレイかなあ。
うれしい気持ちをおさえられずに、神楽はその場でくるりとおひめさまみたいにまわりました。
お父さんがこのあいだ買ってきてくれたかわいいかみかざりが、いっしょに音をたてました。
このごろはこれをならすのがお気に入りです。
「?」
その時、神楽はあたりがおかしいことに気づきました。
なんだか明るいのです。いつもこのあたりは、明かりが少なくてあぶないのに。
青白いかげが、道の先に長くのびています。まわりも白っぽくなっていました。
神楽は思い切って空を見上げました。
そして、口をあんぐりとあけました。
それはとてもめずらしいことでした。十年に一度、あるかないかの出来事です。
雲が全て晴れて、空には星がどっさりありました。
こんなにたくさんの星をはじめて見ました。いつもはきれぎれにしか見えません。
「う」
思わず声がもれました。
「うわあああああ」
神楽の真ん丸のすきとおる目には、空と同じように、どっさり星がうつっていました。
「すごおおおおい!」
神楽はぴょんぴょん飛びはねました。くるくる回りました。
神楽は道を走り、坂の上へと向かいました。
上のほうなら、他の建物にじゃまされることなく見えます。
ほんとうにすばらしいものです。
いきをはずませ、あたりで一番高いところまで走りました。
星たちは神楽を見守るようについてきました。
「うわあああ」
一番高いところだと、星に手がとどきそうでした。
神楽は何度も手をのばして、星をつかむマネをしました。白い星、ちょっと赤っぽい星、青い星など、たくさんありました。数えるには、すごく時間がかかりそうです。神楽の一生が何個あったら足りるのでしょうか。
星はしずかにもえています。
ながめていると、なんだかよだれが出てきました。おいしそうに見えました。とくに白い星なんか、甘くてとろけそうな味がしそうでした。
白い星が帯になって、集まっているところがありました。あそこはいちばんおいしそうです。牛乳の味かもしれません。
流れ星が見えました。
「………」
だんだんとさみしくなってきました。ひとりでながめるには、あまりに世界はキレイすぎました。






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