incident!!!
□incident!!!#05
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反対の階段から見える
白い手――。
ゴクリ。
誰かの息を飲む音が廊下に響いた。
(何か嫌な寒気がする…)
こんな気持ち、初めてだと風早は思った。
だが、こんな気持ちをしたいと思ったこともない。
自分が恐怖でおかしくなりそうなのがよくわかる。
(自分がよければなんて思わない、思わないけど…)
―早く、終わって欲しい―
ただそれだけを願う。
そして
全員は瞬きもせず
ただただじっと
その方向をみる。
すると
ゆっくりではあるが
少しずつ、
少しずつ、
その白い手の主が
見えはじめ――。
全員は
息をのむ―――。