incident!!!
□incident!!!#06
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ハァ、ハァ……
(そろそろ大丈夫か…??)
風早は爽子を見て、彼女の息の上がり具合や後ろからあの女が来てないことを確認して段々走るスピードを落とす。
「黒沼、ちょっと止まろう。」
爽子に声をかけ、ゆっくり止まった。
それを爽子は頷きながら、風早の方を見る。
「ハァハァ…。…さっき、の人…一体…」
息を乱しながら風早に問いかける。
だが風早だってあの女が何者か、なんて知るわけもない。
ただただ不安になることしか出来ない。
だが、爽子を守るためにも自分が落ち着きを見せなければと必死に平静を装う。
「わからない…だけれど、あの女が何か関わっているってことは確かみたいだね。」
風早も少し息が乱れて、額が汗ばんでいる。
爽子はそれを見ながら、なんで関わってるって思うの??と風早に聞こえるくらいのボリュームでしゃべる。
だが―――。
「(しっ!!)」
風早は爽子の黙らせる。
何がなんだかわからない、といった顔を爽子はしているが風早はお構いなしにじっと耳を立てる。
すると、
…トン、トン、トン…
遠くの方から小さな足音が聞こえてくるのがわかる。
爽子はハッとしながら風早の方を見る。
すると風早は『こっち』とジェスチャーをした。
『室健保』と書かれているがそこは紛れもない、保健室であった。
爽子は頷き、「そーっと開けなきゃだよね」といいながら音を立てないよう慎重に保健室を開けようとする。
それをみた風早は先程の足音がこちらに向ってこないか神経を尖らせて耳を傾ける。
「風早くんっ…!!」
小声で爽子が風早に声をかけてきた。
振り返ると、保健室の中から爽子がしゃがみながら手招きする姿が――。
音を立てないようにだが、急いで保健室に駆け込む。
そして
ゆっくり、
音を立てないよう、
ドアを閉めた――。