Gray sky
□Prologue
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「それじゃ、これをイッシュ地方のアララギ博士へと頼んだ」
「OK、イッシュ地方ですね」
シンオウ地方、マサゴタウン。
その町で他より一際大きい家―ポケモン研究所の前で2つの人影があった。
1人はこの研究所の博士であるナナカマド博士。
もう1人は、灰色の髪が特徴的な少女―名はシイナ。
彼女は博士から書類の入った封筒を受け取り、大事そうにバックの中に入れた。
「やはり、イッシュ地方でも旅をするのかね?」
「あぁ、はい。
知らない事があったら知りたいのが人の性って奴でしょう?」
笑みを浮かべながらそう言うとナナカマド博士は笑った。
「ははは、それもそうだな。
気をつけて、いってきなさい」
「勿論」
シイナは1つのボールを取り出すと空へ投げた。
光と共に出てきたのは、彼女の相棒であるカイリューのリュウキ。
「バォ!」
リュウキは新しい地方に行くのが楽しみなのか、何処かウキウキしているように見える。
そんなリュウキを数回撫で、リュウキが屈むのを確認し、背中に乗った。
「それじゃ、行こっか。リュウキ」
「バゥ」
シイナの言葉にリュウキは[了解]と答えながら山吹色と緑色の翼を羽ばたかせ、空高く飛び上がった。
「イッシュ地方…
どんな地方なのか、楽しみだね」
[そうだね]
するとシイナは何かを思い出したかのように「あ」と声を上げた。
そんな彼女の脳裏にはピカチュウを連れた1人の少年。
「そういえば、オーキド博士がサトシ達とイッシュ地方に行くって聞いたような…」
[…思い出すの遅い]
「…五月蝿いな」
新たな風を感じながら、1匹と1人は空へ翔け出した。
旅の始まり
END