Sweet Dream

□悪魔と同居
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スラム街から少し離れた町。
ダンテは待ち合わせに指定した喫茶店で珈琲を飲みながら待っていると、程なくしてレディがやって来た。
「よぉ、悪いな…。」
「久しぶりね。」
片手をあげての挨拶にレディも応え、席に座って同じものを頼む。
しかし、いざ顔を合わせるとなかなか言いづらい内容なことに気づいた。
「わざわざ付き合わせちまって悪ィな。」
それからいつまでも問題を渋って話さないダンテにレディは苛立つ。
「それで?買い物に付き合えなんて急な連絡よこして、何の用なの?悪魔絡み?」
「…あぁ、まぁな。」
一応絡んではいるんだが…。
「頼みたいことがあるんだ。」
「?」
悪魔絡みで自分に頼むことがあるのか、レディは疑問を抱きつつ話を促した。


「…そういうわけで、とにかく服を選ぶのに付き合って欲しいんだ。」
「一気にまとめないでよ。ちゃんと説明して。」
珈琲が冷めた頃、だいぶ内容を誤魔化された説明をされ、レディは納得いかない。
とにかく疑問点が多すぎる。
「あなたの家にいる女性の服を私に選べって言うのよね?」
「わかってんじゃねーか。まだ説明がいるか?」
深く追求されると色々不利な立場にあるダンテはさっさと用事を済ませたくて仕方ない感じだ。
頼み込む側のくせに失礼極まりない。
「直接本人と買い物すれば良いじゃない。本人はどうしたの?何で来ないの??何かあやしいわよ?」
「本人が来れたら頼んでねーよ。」
「だいたい服にもその人のイメージってものがあって、見たこと無い人のコーディネートなんて無理。」
「そう言うなよ。頼むって言ってるだろ。」
抱きつぶしたからベッドに沈んでます、だなんて言えない。
出かけるのに着る服が無いのだ。
「あなたの恋人なんでしょ?そうでもない限りあのバージルが女性を家に入れるなんて思えない。」
レディから見たバージルは紳士らしい。
ダンテは何となく面白くない。そこでつい言ってしまう。
「違うって。2日前に知り合ったばかりなんだ。それに先に見つけたのは俺だけど、拾って帰ったのはバージルのほうだ。」
「拾った!??」
聞き捨てならない台詞に反応するレディ。
ダンテは「ぁ」と小さく漏らした。2人の間に重い空気が流れる。
やばい、口が滑った。
「バージルが連れて来たってこと?」
「まぁ、な。いや、あいつは怪我人を助けたつもりでいたんだよ。さらって来たわけじゃない。」
最初はな。
「やっぱりね。」
いやいや実際あいつはそんな奴だけどな。
ダンテは心の中で毒づく。
「助けた、ってことはまた厄介事?怪我人がいるの?」
「…まぁそんなとこだ。今も家で療養中。」
「ふ〜ん…。」
レディは未だ不信感でいっぱいだったが、それ以上追求するのはやめておくことにした。
「まぁいいわ。貸しにしておいてあげる。」
「Thanks.」
さっきまでの不機嫌さはどこへやら、ダンテは見れば誰もが惚れ惚れする笑顔を見せた。
一瞬騙されそうになったレディはダンテを睨む。
「さっさと済ませるわよ。私も暇じゃないの。」



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