Sweet Dream U

□悪魔も病院へ
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今日のメニューはロブスターだ。
バージルが腕を振るって作った料理を3人揃っていただくのが午後7時半。
サリタには大皿にロブスターが3匹盛られていた。
嬉しそうにはしゃぐサリタに2人は満足げに笑う。
こんなにてんこ盛りに盛られて喜ばないはずがない。
足元ではアヒルが同じメニューを少量盛られた皿をつついている。
このアヒルは、姿こそアヒルだが知能を与えられた立派な悪魔らしい。
サリタに同じような待遇を与えるようにお願いされたため、バージルはわざわざひと手間かけてやっている。
そうして、いつものように大量に夕食を食べていたサリタが、突如として苦しみ出した。
「う゛っ…!」
カシャンと音をたてて、ナイフとフォークが手から離れる。
「「サリタ…!?」」
「うぅ…ん…!お腹が…痛いっ…!」
苦しそうなサリタに食事どころでは無くなった。
アヒルが非常事態に「クワックワーッ!」と叫んだ。
「殻ごと食ってるからじゃねーのか!?吐き出せ!」
「俺の料理のせいか!?」
2人はガタンと立ち上がる。
いや、サリタはスペアリブも骨ごと食べている。何が悪かったんだ…っ?
バージルはサリタの苦しみが自分の作った料理のせいかもしれないと思うと、気が動転しそうだ。
「どうしたらいい!?」
「医者だ!医者に行こうぜ!」
ダンテは医者を連呼しながらレディの事務所のダイヤルを回していた。
『Hi...?』
3コールで出たレディにダンテはマシンガンのように用件を伝える。
「大変だ!サリタが腹痛で苦しんでる!どこの医者に行けばいい!?早く答えろ!!」
『ちょっ…何なの!?医者!?』
名乗りすらしない電話にレディはたじたじだ。
「ダンテ!まだか!?」
何もしていないバージルは、1分1秒が長く感じる。
目の前でサリタが苦しんでいるからだ。
『私もあまり病院なんて行かないからッ、電話帳で近くの病院探しなさい!』
「わかった!サンキュ!」
ダンテは電話を切った。
よく考えれば思いつくことだが、何かを考えるより先に電話をかけてしまっていたのだ。
「電話帳だ!」
ダンテの言葉にバージルが動こうと振り返れば、アヒルが電話帳を床でつつきながら運んで来ていた。
誰よりも先を見越した行動だが、2人は慌てていて気づかない。
「よこせ!」
バージルがそれを拾ってパラパラ捲ると、大きく宣伝された『ココナッツ総合病院(夜間対応)』というものを発見した。
「…どうする?」
バージルが一応ダンテに確認するのは、病院の名前が変だからだ。
「夜間ってそう無いだろ?ココナッツでもヤシの実でも何でもいいじゃねぇか。」
「何でもいいだとっ?」
その言い草に怒ろうとしたバージルだが、苦しそうな声にハッとする。
「あぁ…死んじゃう…っ!」
「ッダンテ!病院に行くぞ!」
住所を確認すると、バージルはサリタを抱えて車に乗せ、ダンテが運転席に乗り込む。
アヒルも滑るような仕草で後部座席に乗った。





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