Sweet Dream V

□ジェスター or アーカム?
1ページ/1ページ




「ただいま〜。」
一週間交代の当番制にしている買い出しに出かけていたダンテが、昼を過ぎた頃に袋を抱えて戻って来た。
「遅かったな。」
電話番をしながら本を読んでいたバージルは顔を上げる。
「今日はセールやってて、レジで足止めくらったんだよ。」
ダンテはキッチンに行く途中、薄い冊子を机に置いていく。
それを見たバージルの表情はすぐさま硬くなった。
「例のスーパーに行ったのか?」
その声はキッチンにいるダンテには聞こえない。
パラパラ捲り、ぶるぶる震えながらその内容に憤り、バージルは冊子を雑巾を絞るように捻りゴミ箱へ投下した。
「ダンテ!!!」
「あぁ?何だよ?」
いきなり怒鳴られ、ダンテが戻って来る。
「貴様、これを見たのか!?見て何も感じないのか!?」
「あ〜、それね…。」
憤慨するバージルに対してダンテは呑気に笑った。
「ダンバジかぁ、上手いこと考えるよな。いつもと逆なだけだけど。」
「貴様…平気なのか?」
信じられないといった顔のバージル。
「むかつくけど、今までと逆になっただけ許容範囲内になったっつーか…。俺攻めになれたし。どーせ文句言ったところでどうにもなんねーだろ?些細なことじゃねーか。」
「些細なことだと…?」
バージルは朝刊に混じっていたスーパーのチラシを持ってくると、ダンテに突きつける。
「これを見て同じことを言ってみるがいい!」
そこには最早相手がバージルですらない悪魔×ダンテの夏コミ予告らしきものがあった。(触手モノ)
それにしても、朝から触手はどうだろうか?
2人は既に"夏コミ"なるイベントを認識している。
「嫌だ…!!!!嫌だっ…!!!!!」
可哀想なくらいうろたえるダンテに、バージルは同情して頷く。
同じ顔なだけに紙面の上とはいえ、そんなものに陵辱されるのは耐えられないからだ。
「スーパーに抗議するぞ。」
実は"スーパー"は店の名前。スーパーという名のスーパーマーケットなのだ。
「アーカムへ依頼するのを辞めさせるんだ。」
「アーカム?ジェスターだろ?」
ダンテの意外な突っ込みにバージルは訝しむ。
「何を言ってる、ジェスターはアーカムだ。」
まったく別のキャラに見えて、彼らは同一人物なのだ。
「でもさ、抗議文送るとしたらジェスターだろ?」
「…………。」
バージルは一瞬考えたが、その考えること自体が無駄と悟る。
「そんな回りくどいことをするか。あの魔の巣窟(アーカムの書斎)ごとあの道化を葬ってくれる。ネーム段階のうちに阻止するぞ!!作り置きしているコピー本も見逃すな!!」
「おぅ…!!」
バージル、最近漫画について詳しくなったな…。
勢いよく事務所を飛び出したバージルの後にダンテも続く。

昼間から2人の半魔によってレディの事務所の一部が襲撃された。
そう、アーカムの書斎を破壊するという事は、レディの事務所を破壊するのと同じ事なのである。




END


 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ