Sweet Dream V

□バージルの逆襲
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「…バージル、魔人化して何やってるんだ?」
事務所の2階の自室にこもっていたバージル。
部屋の前を通ったダンテは、ドアの隙間から溢れる魔力に気づいて中を覗いた。
「……ダンテか。やられたまま…というのは俺らしくないと思って、な。」
「バージル…?」
近づいて見ると、バージルの手元にはアーカムを陵辱する同人誌のネームがあった。
「バージル…。」
その内容は、アーカムがスラムの便利屋たちに親父狩りと称して乱暴されているものだった。
バージルは魔人化を解く。
「魔人化することで集中力、能力的にも上がると思ったが、予想通りだったな。」
確かに画力的にも内容的にも充実してはいるが…。
「で…?」
ダンテにはバージルの目的がわからなかった。
「馬鹿め、これは復讐だ。この同人誌を町中にバラまいてやる。」
恨みつらみのこもった紙の上には、目を背けたくなるほど壮絶な世界が繰り広げられていた。
ジェスター×アーカムもある。
何故アーカムを受けにしたがるのか、恐らくバージルの不満の表れだろう。
つまりバージルは、日頃自分たちをモデルにされていることと同じことをアーカムにもしてやろうと考えたらしい。
だが、これは…。
ダンテは静かに決意する。
「…バージル、俺はあんたを止めなきゃいけないみたいだ。」
「…貴様、俺の邪魔をするつもりか?」
バージルはすらりと閻魔刀を抜く。
「頼むから思い留まれ。傷つけたくないんだ。」
ダンテも反射的にリベリオンに手をかけた。
「貴様、舐めているのか?」
「あんたは何もわかっちゃいない!」
「愚かだな、ダンテ!邪魔をするなら容赦せん…!」
2人は激しく衝突し合う。
隙を見てダンテは仕上がったネームにリベリオンを突き立てた。
「貴様…!」
さらにその隙を見て、バージルがダンテの腹に閻魔刀を突き入れる。
「ぐぁ…っ!!」
「そこまで邪魔をする、その理由は何だ?」
閻魔刀を抜いて血を払う。
「……れないからだ。」
「何…?」
「売れないからだよっ!!」
「なっ…!?」
「あんなの誰が買うんだよ!!在庫だけ余って余計惨めな気持ちになるだけだろ!!?俺はそんなあんたを見たくねーんだよ!!!」
それは悲痛な叫びだった。
「ダンテッ…!!」
バージルは全身に雷が落ちたような衝撃を受ける。
その通りだったのだ。
勢いに任せて描いてしまったが、こんなものは世に出して許されるものでは無い。
確かに復讐にはなるが、描いたほうが生き恥を晒すという正に捨て身の戦法だったのだ。
バージルはダンテに駆け寄る。
「すまない、ダンテ…!」
「…いいって。それより、今思いついたんだけどさ…。」

印刷は1冊で良いだろ?

あぁ、そうだな。


こうして2人は手を組み、 JACK POT という名前で1冊限定の同人誌を作ったのだった。





END

(ジェスター×アーカム描いてる方ごめんなさい)



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