Sweet Dream V

□夏らしいイベント 〜スイカ割り〜
1ページ/2ページ






「夏らしいことがしたぃ。」

それは小悪魔の唐突な一言から始まった。



手に持っているのは先日解禁したプールのチラシだ。
だが恐らく、見ているのはその隅っこに載っている出店だろう。
「ダンテ。夏らしいことを考えろ。」
すぐさまバージルが反応する。
「夏らしく、美味いものがいいな。それにしろ。」
無茶苦茶だ。
じゃあお前が考えろよと言いたい。
…が、既にダンテは条件反射に受話器を取ってダイヤルを回している。
期待に満ちた眼差しを裏切るわけにはいかないからだ。




「…もう!そんなことでいちいち電話してこないでよ!」
レディ宅では、毎度救いを求める電話に辟易していた。
ダンテから仕事以外でかかってくる内容はロクなことが無いからだ。
『そう言うなよ、頼む。夏らしくて何か食えるネタは無いか?1分以内に答えをくれ。』
こちらも滅茶苦茶だ。
すぐ傍で「やっぱりいい」ともじもじしながら遠慮してしまう可愛い悪魔がいるからだ。
自分が言い出したことでダンテにいらぬ苦労をかけているようで居たたまれないらしい。
謙虚な悪魔だ。
滅多に何かを要求してこないからこそ、ダンテはその少ない願いをなるべく叶えてあげたいと思う。
だがそんなことはレディには全く関係ないことなのだ。
「あなたたち毎日どんな生活送ってんのよ!?」
そんなレディの背後で聞き耳を立てている男がいた。
アーカムだ。
こちらにもまたどうしようもない厄介者がいる。
「ビーチのイベント…スイカ割りはどうかね?」
意外なほどまともな案に、元々どうでもいいと思っているレディはそのまま伝えてみる。
「じゃあスイカ割りなんてどうかしら?遊んだ後で食べれるわよ。」
『それだ!!よっしゃ、行こうぜ!!』
後半は背後に声かけしている。
「えぇっ!?来るの!?」
断る前にもう電話は切れていた。
間もなく3人はやって来るだろう。
こちらの予定などお構いなしだ。
毎度のことだが迷惑この上ない。





次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ