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□嘘か真か
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そして。
そのあと店の前についた憂夜は、ジョン太とDJに呼び止められていた。
「憂夜さん!」
「ジョン太、DJ。どうした」
慌てた様子の二人を見て、憂夜は眉をひそめた。
「店長がっ」
「店長が?」
晶の名前を聞いたとたん、ほんの少し顔色を変える。
「店やめたいって」
しかし憂夜は、その言葉に顔色ひとつ変えなかった。
かわりに、いつものあごに手をそえて考えこむ仕草をする。
「店長が本当にそう言ったのか?」
「……うん」
DJはうつむき、そう答えた。
「わかった、店長に話をきこう」
憂夜は店へと入っていった。
あとに残されたのは、ジョン太とDJ。
「……見たか?」
「……憂夜さんびっくりしてたよね」
「店長なんか、めちゃくちゃ取り乱してたぞ」
「でも、憂夜さんなら、絶対気づくと思ったのに…」
「……いや、気づいてるっぽい」
「え、どういうこと?」
ジョン太は呟き、DJは首をかしげた。
「これは面白いものが見れるかもしれねぇな。いくぞ、DJ」
「行くって…あ、なるほど」
ジョン太の言わんとすることがわかったのか、DJは頷き、二人も店の中へと戻っていった。
そう、これは二人が考えたエイプリルフールのうそなのだった。