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□コーヒータイム
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「時間は大丈夫なの?」
「僕がいたら迷惑ですか?」
っていうか、あたしはひとりになりたいんだってば。
心の中で呟いても仕方がないけど、呟かずにはいられなかった。
「いや…そんなことないけど」
しかしさすがにうんとも言えず、曖昧に答えてコーヒーを飲む。
「実はそんなに時間はないんです。でも少しでもあなたと話したかった」
肘をつき両手指を組んだ手を口元にもっていって、空也は真面目な顔でそういった。
「あたしと?」
「ええ」
「なんで?」
と、その時、空也の携帯電話が鳴った。
空也は小さく嘆息し、携帯電話をかざしてみせる。
「残念、タイムオーバーのようです。では高原さん。また店にきてくださいね。お待ちしています」
うやうやしくお辞儀をして、空也は店を出て行った。
「…なんだったんだろ」
嵐のように突然現れ嵐のように去っていった空也。
なんだかほんの少しの時間なのに、どっと疲れた。
残りのコーヒーを飲み干し、帰ることにして店を出る。
と、今度はあたしの携帯電話が震えた。
着信の名前を見ると、憂夜さんだった。