* text

□コーヒータイム
2ページ/3ページ

「時間は大丈夫なの?」
「僕がいたら迷惑ですか?」

っていうか、あたしはひとりになりたいんだってば。

心の中で呟いても仕方がないけど、呟かずにはいられなかった。

「いや…そんなことないけど」

しかしさすがにうんとも言えず、曖昧に答えてコーヒーを飲む。

「実はそんなに時間はないんです。でも少しでもあなたと話したかった」

肘をつき両手指を組んだ手を口元にもっていって、空也は真面目な顔でそういった。

「あたしと?」
「ええ」
「なんで?」

と、その時、空也の携帯電話が鳴った。
空也は小さく嘆息し、携帯電話をかざしてみせる。
「残念、タイムオーバーのようです。では高原さん。また店にきてくださいね。お待ちしています」

うやうやしくお辞儀をして、空也は店を出て行った。


「…なんだったんだろ」

嵐のように突然現れ嵐のように去っていった空也。

なんだかほんの少しの時間なのに、どっと疲れた。

残りのコーヒーを飲み干し、帰ることにして店を出る。


と、今度はあたしの携帯電話が震えた。
着信の名前を見ると、憂夜さんだった。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ