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□コーヒータイム
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「あ、美味しい」


買い物帰りに寄った喫茶店のコーヒーがおいしくて、思わずひとこと。
たまにこの濃い苦味が恋しくなる。

店に帰れば、憂夜さんがハーブティーを入れてくれる。
もちろんコーヒーだって淹れられる。

要するに、あたしにもひとりでひと息つきたい時があるってこと。

たまには。
ひとりで。


って思ったのに。


「こんにちは高原さん」

……思ってたのに…

「表からあなたの姿が見えたので」

現れたのは新宿歌舞伎町・王道ホストクラブ、エルドラドのNo.1ホスト、空也。

「ご一緒してもいいですか?」

「あぁ…うんまぁ…」

歯切れの悪い曖昧な答えを返したのに、空也はにこにことあいている前の椅子に座った。

「今日はどちらか行かれていたんですか?」

「うん、ちょっと」
今日の空也は同伴出勤前なのか、店にいるのと変わらない出で立ちだ。
相変わらずキラキラオーラを振りまいている。

「これから同伴?」
「えぇまあ」
「なんか、あたしが同伴相手みたいで周りの視線が痛いんだけど…」

居心地の悪いあたしに、空也はクスリと笑ってみせた。
これだけまさにホスト!な格好をしていて、かつこの容姿だ。
目立つことこの上ない。
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