GOD EATER長編

□第一話
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それは決して遠くない未来。

突如現れた謎の生物「アラガミ」によって、世界は「喰い荒らされ」ていた。

全てを諦め、祈り続ける人々。

避けられない運命に抗い、武器をとる人々。

「アラガミ」を倒すことのできる唯一の方法、それは「アラガミ」自身の細胞を人体に連結し、兵器として操ることだった。

「神」に対抗する兵器「神機」を携え戦う彼らのことを、人々は「ゴッドイーター〈神を喰らうもの〉」と呼んだ。

決して終わることのない戦いの先に、少年少女達は未来を見つけ出すことが出来るのだろうかか……?






























ガブ……グチャ……


グチュ……グチャ……



日の暮れかかっている、今はもう朽ち果てたこの街に、何かを喰らう音が響く。

獅子のような姿をしたアラガミ――ヴァジュラを、小型のアラガミ――オウガテイルが喰らっているのだ。その数三体。

いくら三体いたからといっても、相手は大型アラガミで獰猛なヴァジュラだ。アラガミの中でも弱い方に分類されるオウガテイルに倒せるわけがない。おそらく、ゴッドイーターが狩ったおこぼれを喰らっているのだろう。

アラガミの身体は、死んでから暫くすると霧散してしまう。つまりこのヴァジュラを狩ったゴッドイーターは、まだ近くにいるということだ。



グアアアアァァァアアアガアアアアァァァァアアアッ!!



そこに一つの咆哮が響くと――別のヴァジュラが飛びかかった。

そんなことをされれば、オウガテイル程度はひとたまりもない。















グチャ……グチャ……



一瞬で喰うモノから、喰われるモノへと立場が変わる。

……それが、今から約60年後の未来の世界。










――そこへ、三つの人影が飛びかかった。






























「……おっと、レアモノだな」

神機に喰らわせるのを止め、男は一声上げる。

彼の名は「雨宮リンドウ」。フェンリル極東支部、第一部隊を率いるリーダーだ。

「戦かは上々……ってやつね」

そう微笑みながら言う女性は、「橘サクヤ」。第一部隊に所属する、遠距離型の神機使い。

「またサカキのおっさんがはしゃぎそうだ」

「後は早く人手が増えてくれればありがたいんだけど……。さ、帰りましょう。お腹すいちゃった」

先に歩き出したリンドウの後に続き、サクヤも歩き出す。



「今日の配給何だったかしら?」

「うん?何かこの前の食糧会議で言ってたな……あぁ、新しい品種のトウモロコシだ」

「えー、またあのでかいトウモロコシ?あれ食べにくいんだよね……」

秀麗な顔を少ししかめる。どうやらあまり好きではないようだ。

因みにそのジャイアントウモロコシは、「飾り気のない自然な品種改良が生み出した野菜」らしいが、その表現と大きさからして違和感バリバリである。

「このご時世だ、食えるだけありがたいと思えよー」

「それはそうだけど……ねぇソーマ、何かと交換しない?」

サクヤは一旦止まり、自分のやや後ろを歩いている少年に話しかけた。

「……断る」

だが少年は、チラリと彼女を見てから無愛想に短く返した。

この少年は「ソーマ」。まだ18歳という若さながら、ゴッドイーターとしては古株に入っている実力者だ。



「おーいお前ら、置いてくぞ」

少し先に行っているリンドウから声がかかり、自然と二人共走り出した。






























『支部長、照合中のデータベースから、新型神機の適合候補者が見つかりました』

「そうか、名前は何と言う。……桜井セツナ、か……。ふむ、早速適合試験を受けてもらうとしよう」




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