零式長編

□捌
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集合時間になった為全員がホテルの部屋に集まり、それぞれ思い思いに時間を潰している時……その異変は起こった。



「「「!?」」」

マキナ、レム、アイ、アルの四人は、自分達の身体から力が抜けていくのを感じる。

「?!この感じ!?」

「クリスタルジャマー?!」

「やっぱりかよ!畜生め!」

舌打ち混じりにそう吐き捨てた。他の0組のメンバーはともかく、アル達の魔力の源は他の朱雀民同様クリスタルだ。ジャマーを使われてしまえば、アル達は何も出来なくなってしまう。

「皇国の攻撃か!?」

「成る程。ここは、朱雀対策室だったわけですね」

「「言ってる場合か!」」

こんな時にも冷静に分析するトレイに、ケイトとアイのツッコミが炸裂した。

「とにかく、ここじゃ私達は満足に戦えないよ。早くここから――」



バタンッ



アイの言葉を遮るように、この部屋の唯一の出入り口である扉が勢いよく開く。

一瞬皇国兵かと思って身構えるが、入って来たのは0組の従卒であるアリアだった。

「逃げて!院長とクラサメさんは――」



バァアアアン!!



――突如銃声が鳴り響き、アリアの身体は倒れていく。

「「アリア!!」」

悲痛な声を上げて、アリアに駆け寄って抱き起こすが、彼女はピクリとも動かない。だがアリアのことを覚えているということは、まだ彼女は生きているということだ。



「いたぞ!全員捕らえろ!!」

そんな怒声が聞こえ、バタバタと沢山の足音が近づいて来る。

「レム!アイ!ここにいたら、オレ達も同じことになる。とにかく、ここから出よう」

「でも……!」

「アイ!このホテルと街の地図を正確に覚えているのはお前だけだ!しっかりしろ!お前がいなきゃ、ここにいる全員が殺されるんだぞ!?」

マキナとアルが腕を引いてそう言うと、レムとアイはうなだれた。……彼女達だって分かっているのだ。何を優先すべきかくらい。



アイは両頬をパンと叩き、強い瞳をアルに向ける。

「みんな……私に着いて来て!」

アイの言葉に全員が頷き、走り出した。

























迷うことなくホテルの入り口に辿り着くと、全員が一旦足を止めた。

「……まずいな、囲まれている」

セブンが外の様子を伺いながらそう言う。どうやらこの扉の作りはこちらから向こうの姿は見えるが、向こうからこちらの姿を見ることは出来ないらしい。

その証拠に、皇国兵達はこちらに気づいている様子はない。

「戦闘は避けられそうにないですね……。アイ、これからどうするつもりですか?」

「地上だといつか限界が来るから、地下に迎おうと思ってる。そこには列車があるから、それを使って逃げよう」

アイがそう言うと、クイーンは了解です、と言って微笑んだ。

「私も賛成です。地上ではこちらの位置を敵に教えているようなものですからね」

「地下の方が逃げるには丁度いいってことか」

エースが納得したように頷くと、アルは扉に手をかける。

「んじゃみんな、準備はいいか?」

そう尋ねると、全員が武器を取り出した。クリスタルジャマーが使われている部屋からは逃げ出すことが出来たので、アル達も武器を取り出せる。

「5、4、3、2、1……Go!!」

勢いよく扉を開け、白虎の街へと飛び出した。




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