短編

□明日へ
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「…………」

目の前に映る光景。



――泣き崩れる先輩達。

――勝利を噛みしめる洛山のベンチと応援席。

――86vs70と表示されたスコアボード。

そして――目を押さえて上を見上げるカズと、唖然として立ち尽くす真太郎。





「負けた……のね……」

隣でキャプテンが、涙混じりの声でそう言う。周りを見渡すと、他の先輩達も、タメの連中も……みんな泣いていた。

「……そっか」

負けたのか、秀徳は――。



「志央理先輩。あたし、ちょっと外出て来ます」

気がついたらあたしは、キャプテンにそう声をかけて立ち上がっていた。

キャプテンは一瞬目を丸くしたが、すぐに切れ長の目を優しげに細め、あたしの背中を無言で押した。

あたしは小さく行ってきます、と言って駆け出した。

――大好きな二人の元へ。
























「はぁっ……!はぁっ……!」

探していた二つの背中を見つけ、あたしは全速力で駆け寄った。

「真太郎!カズ!」

あたしがそう声をかけると、二人は肩をビクッと上げる。だけど、振り向いてはくれなかった……。

「……おぉ、マキか。来てたんだな……試合の方は、どうだったんだ?」

背中を向けたまま、カズはいつものように振る舞いながら軽く聞いてくる。その声は、明らかに震えていた。

「……うん、勝ったよ。桐皇が相手だったから、めちゃくちゃ危なかったけど」

あたしがそう言うと、カズは明るい声で、そっか、おめでとさんと言った。……相変わらず背中を向けたままだ。

「……何をしに来たのだよ」

今まで黙っていた真太郎の口から出たのは、思いのほか冷たい言葉だった。

あたしは拳を痛いくらいにぎゅっと握りしめ、何でもないような声を出す。

「別に。ただ外に出たら二人がいただけ」

「……だったら早く戻れ。邪魔なのだよ」

そんな拒絶だけで戻ったらわざわざ外まで全力疾走してきた意味が無いのだよ。……何てね。

「…………」

あたしは二人に歩み寄り、そして――



二人を抱き締めた。

おー、カズは大して変わんないけど、真太郎はデッカいなー……。



「……何の真似なのだよ」

「んー?こうすれば顔見えないなーって思って」

「……は?マキ、マジ何言ってんだよ……」

――抱き寄せた二人の肩は、震えていた。

「…………泣いちゃいなよ」

そう呟くと、二人が驚いたのがすぐに分かる。

「枯れるくらい、今泣いちゃえ」

「……意味が、分からないのだよ……!」

「そうだ、ぜ……マジ意味分かん、ねぇ……!」

――両肩に、雫が落ちた。

「よしよし……お疲れ様……」

「……ぅ…………ぁ……!」

「く……ぅ……あぁ……!」

二人の肩は震え、雫は止まることなく、あたしの肩を濡らしていく。

……それでいい。あたしはあんた達の涙は見ない。あんた達の涙は拭わない。だから……思う存分泣いちまえ。

男が泣くのは格好悪いって?そんなの誰が決めたんだ。ホラ、何かの歌でもあるじゃん?「涙の数だけ強くなれるよ」ってさ……。

























あとがき

今週のジャンプを読んで感じたままガーッと書きました…。

家だったら百パー号泣してますコンビニで立ち読みだったので頑張って涙を堪えました(/_・、)

緑間も高尾もめちゃくちゃ格好良かったです
そんで赤司君コンチキショーヽ(*`Д´)ノ



次は海常vs誠凛ですね楽しみです





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