藤田麻衣子祭り

□もう一度
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私は、小さな頃から団体行動というものが苦手だった。

だからどうしてもみんなでいなきゃいけない時以外は、一人でいることが殆どだった。

最初は声をかけてくれる子達もいたけど、断っているうちに誰も来なくなった。

そして学年が上がり、上の学校に上がるにつれて、私に話しかけてくるような子はいなくなった。その必要が無くなったからだ。

ちょっと寂しかったけど、これは自分で招いた結果なのだから仕方ないと思った。

私はいつも、みんなの中から離れていた。





そんな退屈だけど平和な日々を過ごしながら迎えた、高二の春−−。



「あれ?こんな所で何してんの?」



−−私に話しかけてくる、物好きが現れた。




最初はほぼ無視に等しかった。今更話しかけられてもどう対応していいか分からないし、正直放っておいてほしかった。一人でいる方が楽だった。

でも君は何度も私に話しかけてくれて、みんなの輪にいてもわざわざこっちに来て、私を気にかけてくれてた。

面倒見が良くて、優しくて、ふわふわしてるように見えてしっかりした男の子。

意外と頑固で、こうと決めたら意志を貫き通す強い男の子。

彼を好きになるのに、あまり時間はかからなかった。

彼に会えると、胸が高鳴った。触れられるとドキドキした。優しくされると、本当に嬉しかった。

でも素直になれない私は、いつも可愛くないことばかり言っていた。それでも君は、優しく微笑んでくれたね。

私は、君の笑顔が一番好きだった。

























−−それなのに、どうしていなくなってしまったの?どうして、死んでしまったの?どうして、消えてしまったの?

君がいなくなっても、私は毎日君のことを考える。辛くて辛くて忘れたいのに、私は君を忘れることが出来ない。

それはきっと、どうしようもなく君が好きだからと、一回も「ありがとう」って言えなかったからだろう。

私を呼ぶ優しくて柔らかい大好きな声が、今でも耳に残ってる。たまに呼ばれた気がして振り返るけど、当然そこに君はいない。

寂しいよ、苦しいよ、どうして傍に来てくれないの?どうして私を一人にするの?

一緒に過ごした何気ない、だけど私にとっては幸せでかけがえのない時間。その一つ一つを思い出す度に、涙が頬を伝う。

受け入れられない。受け入れられる筈がない。

会いたい、会いたい、会いたいよ……。



私の時間は、まだ止まったままだ。






























もう一度

もう聞くことはないその声を せめて夢の中で聞かせて



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