APH

□俺の執事
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「ご主人様、紅茶の御用意ができました。」

「...」

気に食わない

こいつにそんなふうに呼ばれるのはなぜかやたらと...

「ムカつく」

「ひ、ひどい!お兄さんだって本当はこんなことしたくないもん」

「髭生やしたおっさんがもんとか言ってんじゃねえよ!」

腐れ縁の喧嘩相手と主従関係

こんなおかしな関係にさせたのは俺だが元はといえばあいつが

「不況でさえなければこんなことにならなかったのに。お兄さんもう耐えられない」

結婚、結婚としつこく言い寄るから仕方がなく仕事を与えてやったんだ

べ、べつにこれはあいつが死ぬかもしれないからとかかわいそうだからとかではなくて俺のためなんだからな!

最初は執事として雇ってこき使ってやろうと思ってたのに

あいつとまともにこんなに近くにいるなんて今までなかったし

ましてやあいつが俺の言うことを黙ってきくとか気遣ってくれてちょっと優しいとか

調子狂う

「ちょっとアーサー聞いてるのかよ?」

顔が近い

デスクに向かって仕事を黙々とこなしていたら話を聞いてないと思われたらしく顔を覗きこんできた

最近やたらと意識してしまう

今までと違う距離感

長年付き合っていたが喧嘩するでもなく暴酒してるわけでも仕事の話をしているわけではない

こんなにも穏やかな付き合いは初めてなきがする

「アーサー?顔真っ赤だぜ!?大丈夫かよ?熱でもあるんじゃないの?」

顔が赤い?

なぜだろう?

動悸も激しくなってきた

さっきまでなんともなかったのに。風邪だろうか?

「大丈夫だちょっと疲れただけ」

「じゃあ俺ホットワイン持ってくるよ」

フランが俺から離れた

あれ?

フランがキッチンへ行くと心臓は穏やかになった

顔の熱も消えた気がする

「これって...」

いいやありえない!俺があんな髭を...す、好き...とか。ぜっったいにありえない!!

頭の中で一人てんぱっているとフランが戻ってきた

「アーサー?大丈夫?ほら、ホットワイン持ってきてやったからこれ飲んで少し横になんなよ」

またあいつが近づくたび少しづつ心拍数が上がるのがわかる

カップを受け取ろうと伸ばした腕は少し震えていてまるで重病人のようだ

熱いから気をつけてなんてそんな優しい言葉あいつから初めて言われた

レディにはいつも言っているんだろう

いや、羨ましいとかそんなこと全然これっぽちも思ってないんだからな!

「って、あぢっ!!」

「あぁだから言ったのに。まったく...大丈夫?火傷してない?」

フキンを持って駆け寄ってくる

母親みたいだ

「ズボンは履き替えないとだね。指、少し火傷してる...ちゅっ」

!!!

「なななな、何考えてんだよばかぁ!指舐めるとか」

「何って、アーサーのこと。アーサーのことだけを考えてる」

え?

なんかいつものフランじゃないようだ

とても真剣な目をしている

そんなふうに見つめられたら、俺...

て、ちがーう!!

くそっ髭のせいで自分に突っ込んじまったじゃないか

「あれ?アーサーもしかして本気にしちゃった?」

「誰が!」

あーホント調子狂う

「まぁ本気だけどね。ちゅっ」

「!!」







「ば、ばかあぁぁ!!!」




おわれ

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