APH

□neu familie
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最近ヴェストがよそよそしい気がする

まさか、これが反抗期ってやつなのか?

ここ毎日のように朝早くから出かけてなかなか帰らない日が続いていた

もう一週間になる

家で一人寂しすぎるぜ…

いつも頭の上にいる小鳥は眠っちまったようだ

お昼には一度戻ってくるはず
そういえばマシューにメイプルシロップを貰ったっけ?
帰ってくるまでにホットケーキを焼いておこう

卵と牛乳と…

「あれ?牛乳が切れてる。ヴェストが飲んだのか?」

牛乳は昨日3本買ったはずだ。それがもう無くなっている

きっとまだ背が低いことを気にしてるんだろう

「しかたない、買いに行くか!」


身仕度を調え街に出た

そういえばヴェストは何処で遊んでるんだ?

俺はてっきり学校のやつらと遊んでいると思っていた
だが、以前会ったヴェストの友達たちは街の噴水で遊んでいた
そこにヴェストの姿は見当たらない

戻ってきたら聞いてみるか


お昼ちょっと過ぎ

お腹を空かせ、泥まみれになったヴェストが帰って来た

「ただいま…」

やはりどこかよそよそしい
目を見ようとはしない

「おう、お帰りヴェスト!ホットケーキ焼いといたぜ」

何か言いたくないことがあるのかもしれない
年頃なんだし、しかたないだろう
向こうから言ってくるまで様子見るか

あえて気にしてないふりをすることにした

「「いただきます」」

いただきますを二人で言う。我が家のルールはしっかり守る
なんとも中途半端な反抗期だ

普通ならそんなの恥ずかしいだのめんどくさいだの言って従わなくなるだろう
反抗期というわけではないのだろうか?

俺にとったらまだまだ幼いヴェスト

今もホットケーキを口いっぱいに頬張り眼を輝かせている

「そんながっつくなって」

「そういえば最近何処で遊んでるんだ?今日街に行ったらお前の友達たちがいたけど…」

急にヴェストの表情が強張った
下を見て、先程まで皿の上を駆け巡っていたフォークは静かに動きを停めた

何かまずかっただろうか

「ヴェスト?」

はっとしたように再びフォークを動かし口へと運ぶ
隣のクラスのこの家で本を読んでいるんだと言い食べ終わった皿をキッチンへと運ぶ
まだ読んでる途中だからと言って出かけて行った

怪しい

真面目で素直なヴェストは嘘をつくことが一番苦手だ

反抗期じゃないとすれば何か隠しているとしか思えない

夜帰ってきたら聞き出すか

いつも後を引っ付き回っていたヴェストも一人で遊びに行ったり、嘘なんてつくようになった

随分と成長したものだとぼんやりと考えているうちにいつの間にか眠ってしまったようだ

気がつくと外はだいぶ暗くなっていた

早く飯作らなきゃヴェストが帰ってきちまう

そう思い立ち上がった瞬間家のチャイムが鳴った

「お帰り」

「ただいま」

夕飯まだ作ってないんだと話したら、なら俺も手伝うと言い出した

まったくホントにいい子に育ったもんだ
まあ俺様が育てたんだからこれくらい当たり前だけどな!

二人で作ったいびつなハンバーグを並べ食卓に向かう

「そういやぁ最近小鳥見ねぇな」

ヴェストの肩が少し跳ねる

やっぱりおかしい

「ヴェストなんか俺に隠してないか?」

目が泳いでいる

「兄さん……その…」

「実は俺、犬を飼ってるんだ」

「犬…?」

何かもっととんでもないことを告白される構えをしていたせいで拍子抜けした

「黙っててごめんなさい!家にはもう小鳥がいるのに、言ったら怒られると思ったから……」

かわいい!流石俺様の弟だぜ!

「んなことで怒るわけねぇだろ?」

「じゃ、じゃあ!」

俺を見上げる綺麗なスカイブルー

かわいい弟に頼まれちゃ断れねぇよな

「そのかわりちゃんと毎日世話するんだそ?」

「うん!」

そういやぁ小鳥は結局どこに行ったんだ?

「あとね兄さんの小鳥は犬のとこに一緒にいるんだ」

なるほどな、それで言えなかったわけだ

「で、犬は何処に居るんだ?」

「裏山!」

先程とは打って変わり嘘を告発しすっきりしたようにはしゃいでいる

兄さん早くなんて
トーニョのとこのより断絶かわいいよな

「はいはい」

「ここだよ!」

案内されたのは家から4分程の距離の裏山

ヴェストの指差す先にはダンボールとふさふさしたハニーブラウン色の三本の尻尾

……三本!?

「え、ヴェスト……犬って」

「うん。こいつらだよ」

三匹とは盲点だったぜ

確かにヴェストは一匹とは言ってなかった

でも、まさか三匹とは

いや、男に二言はないぜ!

「かわいいな」

「名前はAster,Bkackie,Berlitz(アスター・ブラッキー・ベルリッツ)っていうんだ」

「そうか、いい名前だな」

「お、小鳥もすっかり懐いてるな。じゃあみんなで帰るか」

二人と一羽と三匹

月明かりが照らす
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