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□七夕
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「七夕は牽牛と織女が年に一度だけ天の川を渡って会える日なんですよ。」
不意に菊が言った。
菊の家の縁側で二人で夜空を見ていたとき。7月7日。今日の星は一段と綺麗だった。
俺は…俺は年に一度なんて嫌だ…

菊と同盟をくんでからお互い沢山のことを教えあった。
日本文化は俺にとってとても新鮮で、なにより嬉しそうに話す菊を見るのが好きだった。
菊も俺の文化に興味を持ってくれたみたいだ。いつも目を輝かせて聞いてくれる菊にドキドキしっぱなしだ。

七夕。牽牛と織姫が年に一度会える日。
俺もいつか菊と離ればなれになるんだろう、なんてぼんやりと考えてたら
「この物語は私が幼い頃に王さんがよく聞かしてくださったんです。」
すこしさみしげに言う菊を月光が照らす。
艶やかな美しい黒髪と同じ色の瞳、それを縁取る長い睫。鼻は亜細亜人にしては高めなすらっとした形だ。白い肌に色気のある紅い唇と白い歯。
ついつい見とれてしまった。
どうやら菊は気づいていないらしい。
静かな夜だ。
「私は…アーサーさんと年に一度しか会えないなんて耐えられません。」
『!?///』
(不意打ちだろ!?
そんな涙目で俺を見るな!)
精一杯理性を保ち、
『菊。俺も…お前と「ドカーンッ!!」

(!!??)
緊張してたせいで異常にびびって、ってひびってなんかないんだからな!ばかぁ!!

「何事ですか!?」
と立ち上がろうとした菊
俺はとっさに手を掴んで行くなといいかけた。
「!?」
『あ、いやその、俺も行く…』
俺ってこんなにヘタレだったか?あまりフェリシアーノのこといってられねえな

二人で音のした玄関の方に向かうと、
「菊〜遊びに来たんだぞ〜!」
『ア、アルフレッド!?』
「これはこれはアルフレッドさん今夜も泊まって行かれますか?」
(今夜も!!??)
「もちろんさ!ところでアーサー、君がなんで菊の家にいるんだい?」
あからさまに嫌そうな顔をして聞いてくるアルフレッドを軽く睨みながら
『俺は菊と同盟をくんでるだろ!それよりお前こそなんで…』
「ちょっとね」
なんだよそれ、菊の対応といいコイツはしょっちゅう来ているようだ。
胸が痛い、苦しい。
菊の笑顔をみてこんな気持ちになったのは初めてだ。
「アーサーさんアルフレッドさんお風呂入ってきてください」
菊はせっせと布団やらなんやらを用意している。
俺達は言われたとうり風呂に入ろうと脱衣所で準備をしていた。
「アーサー、君は菊のことが好きなのかい?」
『なっ!!い、いきなり何言ってんだよ…ばかぁ///』
「…俺は好きだよ。」
『えっ』
こいつは今なんて言ったんだ?好き?菊をか?そんな…兄弟って好みまで似てくんのかよ
「アーサー好きじゃないならあまり菊に近づかないでくれるかい?俺は心が狭いんだ」
なんて笑いだしたアルの目は真剣だった。
『おい、おいアル本気かよ?だって相手は』
『!!??』
言い終わる前に額に冷たい何かを感じ、上を向くと額には銃口が充てられていた。
「俺は真剣だ」
(アル、お前)
俺はどうしたらいいのかわからなくなっていた。
独立したってアルフレッドは俺にとって今でも大切な弟だ。だからといって菊を諦めれるはずもない。
『アルごめん俺も本当は菊のこと、えっと、その、好き…なんだ///』
「ガシャーン!」
『「な、なんだ!?」』
何か陶器の割れた音がした。まさか、菊!?
「どうしたんだい?」
そこには今一番会いたくなかったかもしれない、腰を抜かした菊がいた。
「アーサーさん…私も好き、です。」
『へ?』
つい間抜けな声が出てしまった。菊が俺を?
はっとしてアルの方を見ると何故かニヤニヤしている。(?)こいつ今フラれたことわかってんのか?
「菊どうだい俺のハリウッド級の演技は」
(演技?)
「ええ、とても素晴らしかったですよ。ありがとうございました。流石本場は違いますね」
なにがなんだかわからなくなっていた。
「アーサーさんこのようなことをして大変申し訳ありませんでした。ですがどんなにアピールしても気づいてくれないアーサーさんも悪いんですよ」と笑った。
俺はやっと何を言われているのかを理解した。さっきまでのアルは全部菊に頼まれた演技だったということだ。
菊からの突然の告白に俺は嬉しさが隠しきれなかった。
「これからもよろしくお願いしますね。」なんて言う菊が可愛いらしくおもわず抱きしめた。




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