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□言葉と噂
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俺がここに来てにるたちと過ごす日々で驚いたことがある。空港にタクシーがないとかトラクターで村までいくとか、そんなことは些細なことだ。田舎、なだけだから。問題はなるが話す言葉だ。どこから仕入れたのか(たいがい美和たちか)普通の小学生が話す言葉とは無縁だ。意味もわからず使うから凶器だな。おれ自身も被害者じゃないかと思う。仕事の看板で書いてた一部の文字をみて、俺が(S・M)だとか村中に広まり(俺はいたって普通だ)誤解を解くのに一苦労した。この間もひどかった。俺とヒロはヒロが作ってくれていた昼飯を食べていたときだ。そこにいつものようになるが遊びに来た。


「あ、先生うまそうなの食べてる」


「ん?あぁ。少し食べるか?」


「うん!」


うまそうに食べるなるをみる。満足したのか皿を俺に寄越す。


「さすが、ヒロだな。料理人になれるぞ」


「俺を誉めたってなにもないぞ?先生」


「うまいからいったのに」

「サンキュ」


「ねぇ、先生。情人(いろ)ってなんだ!?」


「「ぶっ!…なる?」」


思わず、俺とヒロは食べていたのを吹き出しそうなってしまった。何を急に言うんだ、こいつは。
しかも、しかもだ、更にとんでもないことをいった。


「なぁ、先生。ヒロの情人は先生なんだってね」


「「はああぁぁ!?」」


「なる?お前、何をいって」


「だれか、きいた?」


「ち、ちがうからな。」


「一大事だー」


「「なるー!」」

とりあえず否定をするが俺とヒロの意思は聞き入れられず、なるは家を飛び出すとあっという間に村中に広まってしまった。あの事件は誤解を解くのにどれだけ苦労したか。S・Mじけんどころではなかった。まぁ、本当はヒロとは付き合っているから間違いではないんだけどな。
そんなことを思い耽っているとヒロがいつものように昼飯を持ってきてくれた。

「なぁ、先生。」


「なんだよ」


「この間のなるの情人の噂の否定、あれしなくてよかったんじゃないか?」


「なんで?しなきゃまずいだろ」


「でも実際はそうじゃん」

「事実でもだ。世間体とか色々まずいだろ」


「まったく。先生はよく色々悩むよな」


「うるさい。いいだろ。別に」


「まぁな。一人で暴走しなきゃ。悩んでもいいけど。ちゃんと俺にいえよ」


「う゛…わかった」


「なぁ、先生。今はだれもいないからキス、してもいいか」


そういうとヒロは俺にキスをした。
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