庭球<S&T2>
□風邪
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あいつ、やっぱりバカかも。行けるはずだった温泉が隼人の風邪で中止なった。
「全く、バカでも引くんだ、風邪」
思わず悪態をついてしまう。温泉、楽しみにしてたんだけど。隼人の馬鹿が熱を出した
「わ、悪かったな!風邪引いたってことは、馬鹿じゃないってことだろ」
「風邪引いたんだからバカでしょ」
隼人の言い分にあきれてしまう。
「な、なんでだよ!?」
「いつもお風呂のあといつまでも薄着でいるからじゃん。自業自得。」
「ぐっ…」
人の気持ちも知らないで。少し濡れた髪、薄着でシャツから見える火照った身体。好きなんだから欲情するなって言う方が無理だし。可愛いし。我慢する身にもなってほしい
「ほら、今だって熱、あるのに薄着じゃん。もう一枚着るべきでしょ」
「だって…」
口ごもる隼人。理由は知っている。昨日着せたけど具合が悪くなり汚れたのだ
「だって、なに?」
「ないんだもん…」
熱のせいか顔が赤く、ふぇっ…と今にも泣きそうな顔をしている。本当は可愛いからもう少し見ていたいけど、さすがに可哀想に思えブランケットを隼人にかける。俺もまだまだだね。
「リョーマ?」
「ないよりましでしょ。ほら、お粥食べたら寝なよ」
「あんまり、食べたくない」
「薬、飲まなきゃいけないから少しは食べなよ」
「…うん…」
隼人はゆっくりお粥を半分ほど食べた
「もう、いい?」
滅多にない上目遣いで見られて思わずドキリとする。生唾をゴクリと飲み込む
「リョーマ?どうした?」
「べ、別に。早く薬、飲んだら?」
「あ、うん。」
薬を飲んだあと横になる隼人。しばらくすると、スースーと寝息が聞こえる。
「可愛い顔して…全く」
さらっとした髪に触れそっと撫でる
「早くよくなれよ」
お前が元気じゃないと調子が狂う。俺は寝ている隼人のおでこにちゅっと、キスをした。
「ガキ…」
でも、そんな隼人に何故か惹かれる。一緒に住んでるからこそ隼人の可愛い部分がわかる。
「温泉、リベンジするから」
そしたら隼人の可愛い浴衣姿や裸が見れる、って俺、変態みたいじゃん。これもきっと隼人のせいだ
「俺を惚れさせたんだから覚悟、しなよ」
なにも知らない寝ている隼人に呟き今度は唇にキスを落とす。頭を一なでし俺は隼人の部屋を出た