庭球<S&T2>

□風邪
1ページ/3ページ

あいつ、やっぱりバカかも。行けるはずだった温泉が隼人の風邪で中止なった。


「全く、バカでも引くんだ、風邪」


思わず悪態をついてしまう。温泉、楽しみにしてたんだけど。隼人の馬鹿が熱を出した


「わ、悪かったな!風邪引いたってことは、馬鹿じゃないってことだろ」


「風邪引いたんだからバカでしょ」


隼人の言い分にあきれてしまう。


「な、なんでだよ!?」


「いつもお風呂のあといつまでも薄着でいるからじゃん。自業自得。」


「ぐっ…」


人の気持ちも知らないで。少し濡れた髪、薄着でシャツから見える火照った身体。好きなんだから欲情するなって言う方が無理だし。可愛いし。我慢する身にもなってほしい


「ほら、今だって熱、あるのに薄着じゃん。もう一枚着るべきでしょ」


「だって…」


口ごもる隼人。理由は知っている。昨日着せたけど具合が悪くなり汚れたのだ


「だって、なに?」


「ないんだもん…」

熱のせいか顔が赤く、ふぇっ…と今にも泣きそうな顔をしている。本当は可愛いからもう少し見ていたいけど、さすがに可哀想に思えブランケットを隼人にかける。俺もまだまだだね。


「リョーマ?」


「ないよりましでしょ。ほら、お粥食べたら寝なよ」


「あんまり、食べたくない」


「薬、飲まなきゃいけないから少しは食べなよ」


「…うん…」


隼人はゆっくりお粥を半分ほど食べた


「もう、いい?」


滅多にない上目遣いで見られて思わずドキリとする。生唾をゴクリと飲み込む


「リョーマ?どうした?」

「べ、別に。早く薬、飲んだら?」


「あ、うん。」


薬を飲んだあと横になる隼人。しばらくすると、スースーと寝息が聞こえる。


「可愛い顔して…全く」


さらっとした髪に触れそっと撫でる


「早くよくなれよ」


お前が元気じゃないと調子が狂う。俺は寝ている隼人のおでこにちゅっと、キスをした。


「ガキ…」


でも、そんな隼人に何故か惹かれる。一緒に住んでるからこそ隼人の可愛い部分がわかる。


「温泉、リベンジするから」


そしたら隼人の可愛い浴衣姿や裸が見れる、って俺、変態みたいじゃん。これもきっと隼人のせいだ


「俺を惚れさせたんだから覚悟、しなよ」


なにも知らない寝ている隼人に呟き今度は唇にキスを落とす。頭を一なでし俺は隼人の部屋を出た
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ