庭球<S&T2>
□バレンタイン
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二月。それは男にとって嫌な月だ。地獄か天国か。それは女子によって決められる。恐ろしいバレンタインデーだと俺は思う。
「ねぇ、桜乃はもちろん、チョコあげるよね。」
「うん。朋ちゃんは?」
「もちろん、リョーマ様にあげるわよ。桜乃は?」
「私も…リョーマ君…」
女子が人の近くでする会話の内容が痛い。
「越前ばっかりだな、赤月」
「ん?あぁ。」
近くの席にいた友人と話す。リョーマをみれば我関せずというところか。余裕綽々としてムカつくくらいだ
「ほら、ホームルームするぞ」
先生の一言で皆席に着く者、クラスに戻る者。落ち着いた頃を見計らいホームルームが始まる。10分すると解放された。
「ほら、部活行くよ」
「まてって」
リョーマの後を追いながら思った。俺たち一応付き合ってるんだよな。いつもと変わらないリョーマと俺。
「チョコかぁ。どうするかなぁ」
「なにぶつぶつ言ってるわけ?」
「な、なんでもねぇよっ」
き、きけない。チョコ欲しいとか。要らないとか言われたら立ち直れない。まだ時間あるし様子、みるかなぁ。買うのも恥ずかしいし
「そう、ならいいけど。そのまま歩くと壁ぶつかるけど?」
「え?う゛わあぁっ」
「っと…。全く気を付けなよ」
「あ、ありがとう」
壁にぶつかる寸前、リョーマが助けてくれた。助けてくれたのはいいけど、格好がヤバイ。リョーマに抱き締められてる姿勢だ。
「隼人のせいで遅くなったじゃん」
「わ、悪かったな!」
バタバタと走り部室に行く。お互いに文句をいいながらも楽しく部活をした。帰り際、女子がチョコを手作りをするとかしないとか話していた。どうやらそんなに難しくはないらしい。頭の中をチョコを作るか?と寒い考えをよぎる。料理はそこそこ作れるから大丈夫だとは思う。
「付き合って三ヶ月か。リョーマにきいたら…だめだ。内緒にした方が面白いもんな」
「隼人、またぶつぶついってるわけ。」
「うっわぁ。リョーマ?びっくりした。」
「帰るよ」
「あ、ごめん。スーパーで買いたいのあるんだ。だから、先帰ってて…」
「一緒に行く。雑誌とかもみたいから」
「あ、うん。じゃぁ待ち合わせ、するか?」
「まぁ、いいけど」
とりあえず行き先は違うから大丈夫か。俺はスーパーでチョコと必要雑貨を買う