一期一会の宝
□語り
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昔むかしの事
あるところに一人(いっぴき)の狐がおりました
その狐は妖怪でした
しかし
狐の妖(あやかし)には人の子がおりました
その子どもを狐は大事に育てました
そして何時しか子どもは妖怪の主と呼ばれるようになりました
その子どもは人と妖の理想世界を望んでいました
ある日子どもは狐に言いました
もう一度私を産んではくれまいかと――――――
狐はこの子のためなら何度でも産んでやろうと思い快く承知しました
子どもを抱き締めた狐は
こんな日々が続けばいいと思いました
しかし
狐は死んでしまいました
誰にかって
欲望にまみれた人にです
狐の不老不死になるという胆を狙った―――――――
最期にみたのは子どもの哀しい顔でした
もう一度産んでやると言ったのにそれは叶いませんでした
子どもに産んだやることか出来ないと謝りそして最期に言いました
――愛して…おったぞ…
狐は逝きました
次の世へ生まれるために
何度も転生を繰り返して生きていくそれが
"羽衣狐"という妖なのです
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