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□君の隣りで
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前は、苦しくなるとその場から逃げ出して一人誰もいない場所で苦しげな表情をしていた。


けれど今は慣れたのか、それともこれから訪れるものを受け入れたのか、人前で苦しくなっても笑顔をつくり変わらぬ調子で話をしていた。

そして一人になると、溜め込んでいたものを苦しみながら吐き出していた。

苦しげな表情を浮かべながら、口から真っ赤な血を吐き出していた。


「半兵衛様、」

半「来ないで。」


咳き込みながら部屋に入ろうとした私を半兵衛様が止めた。

弱々しい声だけに一瞬立ち止まったけど、今だに咳き込む半兵衛様を放っておく訳にはいかなかった。


「半兵衛様。」


部屋に入り、咳き込む半兵衛様の背中を何度もさすった。

すると半兵衛様は苦笑しながら振り返ってきた。


半「来ないでって……言ったじゃん……。」


弱々しく微笑む半兵衛様の口許と手には真っ赤な血。


「…申し訳ありません。」


一人にはさせたくなかったので、


そう言いたかったけど、なんとなく言えなかった。


半「…全く……うつったらどうすんの。」


口許についた血を拭こうとした半兵衛様に布を渡した。

ありがと。そう言いながら半兵衛様はまた微笑んだ。


…別にかまわない。半兵衛様の苦しみが分かるのなら不治の病になったってかまわない。


でも貴方の事だ。


私がそれを言ったら、貴方は私を避けるだろう。

他人に苦しんでほしくないから。



半「…どうしたの?」

「え?」

半「凄く暗い顔してる。」

「…そうですか?」

半「困るなぁ。君には笑っていてほしいのに。…まぁ、そういう顔にさせてるのは俺なんだけどね。」

「そんな事……!」


ありません。

そう言う前にそっと頭の上にのる半兵衛様の手。

真っ白で、細くて、けれど温かい手。

そっと私の頭を撫でる半兵衛様は優しげで、けれど儚げに微笑んだ。


半「ごめん。俺のせいで苦しませて。」

「そ、そんな事ありません…!」

半「顔が半泣き。…ごめん。わがまま言っていい?」

「…なんでしょう。」

半「なんだと思う?」

「……分かりません。」


そう言うと半兵衛様はまた微笑んだ。





君の隣りで

――せめて向こうに逝く前まで、一緒に笑っていて――








相方様達に便乗

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