T:Prelude

□04:きみどりいろ
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「えーっと、向こうから歩いてきたから・・・」


クロエが街中で倒れてラファエルに助けてもらった翌朝、クロエはバスケットを片手に森の中にいる。
いつも通りの光景だ。だたし、たったひとつ、ある事を除いては――。


「でもこの切り株がここにあるってことは・・・」


クロエは独り言をぶつぶつ言いながら、時々立ち止りながら足を進める。
ひたすら自分の勘を頼りに、毎日来て慣れているはずのこの森を歩きまわっている。普段ならもう目的地についてもいい頃だというのにもかかわらず、だ。

そう、クロエは現在進行形で道に迷っているのだった。

もちろん彼女が何の理由も無しにこの森で迷う筈は無い。・・・いつも通りの道を通っていれば。
道に迷ってしまった原因、それはまさしく昨日にあった。

わざとでは無いとはいえ、昨日はルシファーに会う事が出来なかった。別にいつものように行けばよかったのだろうが、どうしてもなかなか行く気になれなかった。
街中で倒れたなんて理由、恥ずかしくて言いたくなかったのだ。
だからこうして遠回りをして、上手い言い訳を考えながら歩いていた。が。
気が付いたら見事に自分のいる場所すら分からなくなってしまったのだった。


「やっぱり考え事しながら遠回りなんてするんじゃなかった・・・」


クロエは少し泣きそうになるのを堪えながら、木の根元に座った。

ここがどこかもわからないし、ルシファーもいないしで、クロエはだんだん心細くなってくるのを感じた。

(やっぱり道がわからなくても歩かないと戻れないよね・・・)


「よし」


パンパン、と両手で頬を叩いて気合を入れて立ち上がろうと両足に力を込めた時、


ぼと


「ぼと?」
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