短篇部屋〜ヴィンユフィ〜

□sweet bitter sweet
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2月14日。
世界中の恋人達の、聖なる日そのいち、である。
(ちなみに『そのに』はホワイトデー、『そのさん』はクリスマスイヴ、『そのよん』はクリスマス…え?駄目?)
鮮やかなリボンで彩られた聖ヴァレンタインのカードだとか、温室から生まれ出た花束達だとか…まぁ、一般的には女性が男性にチョコを送る日である。
ここセブンズヘヴンのキッチンで、先程から慣れない作業に没頭する少女、ユフィ・キサラギもまた、そのチョコを送ろうと奮闘する一人だったりするのである。

事の起こりは1時間くらい前。
「今日って…」
時間は一応午前中。10時ちょこっと過ぎてるくらい。
可愛いハートが記されたカレンダーの日付を見て、ユフィは頭を抱えた。
「ヴァレンタインじゃんっ!!」
…どうやら忘れていたらしい。
「うわわ、どうしよ…ヴィンにあげるチョコなんか作ってないよぉ…」
ガシガシ頭をかきむしるユフィ。あんたは金○一か(笑)
時間はまだ10時過ぎである。
ちなみにセブンズヘヴンにはユフィ一人。
ティファとクラウドが二人で(ここポイント)出掛けているからだ。
『じゃあお留守番宜しくね♪』
出掛けにティファがやけに嬉しそうに言ったっけ。
つまり、二人がデートしてる間の留守を預かってる訳で。
「うぅ…」
はっきり言って面白くない。
留守番さえしてなきゃ、自慢の脚でチョコを買いに一っ走り行くのだが。
留守を預かるというのに鍵をかけてまで出掛け、その間に(まぁ有り得ないが、万一)ティファ達が帰ってきたら…。
気まずい事このうえない。
と。
念の為鍵をかけておいた入口を、誰かがノックするのが聞こえた。
(チャンス!!)
ユフィは飛ぶような速さでドアへと走った。
この時間に来るとしたら、セブンズヘヴンの客などではなく、少なくとも自分達が知る人間だという確信があった。
…開店は夜だから(笑)
つまり。
(留守番押し付けれる!!)
この際、あの煩いクソオヤジ(シド)でも良いから、とかなんとか考えていたユフィには好都合である。
………だがしかし。
喜び勇んで開いたドアの向こうには、不運な事に今最も会いたくない、そして最も愛しい人間が立っていたりした訳で。
「………ぁ」
戸惑ったユフィに、ヴィンセントは怪訝そうな表情を見せた。
「………どしたの」
「ここにきているとティファに聞いた」
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