ZONE;「LOVELESS」

□game2,「賽は投げられた」
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時間は場所に相応しく、優雅に、ゆっくりと華やかさを伴って流れていった。
ハイネが隣で優しく微笑み身、ユウはただただ緊張から俯いて相槌をうつだけだった。
それでもハイネはユウのそんな無愛想な態度に気を悪くする訳でもなく、時折言う冗談を言いユウに優しく接した。

「…そろそろ始めるか?」
時計の鐘もなり鳴り、ますます夜は更けていく。
ハイネは急に真剣な面持ちでユウを見つめた。
ユウにはハイネが何を促しているのかが分かる。
「……あの…ハイネ?」

「なに?」

ハイネに敬語を使うなと言われてから、ユウはこの伯爵であり、なにより優雅で容姿端麗なハイネに初めこそ馴染めなかったものの、今は少しだけ緊張が和らいだ。

「…恥ずかしいんだけど、本当にハイネ達がどんな賭をしたりとか知らなくて、カードゲームだってまともにしたことが無いんだ。
その…だから、俺が言いたいのは、ゲームの事はよく知っているハイネがゲームを決めてほしいんだ。」

ハイネが一瞬妖しく笑った気がしたのをユウは見逃さなかったがあまりに早い変化に流された。

「…じゃあ、ゲーム初心者でも簡単なのを選ぼう?
そしたら負けた後で変な言い訳で賭の話が飛ばされないからね。」

ユウは別に負けても言い訳などしないと少し癇に障ったが、この頃のユウは、何もハイネが理解できていなかった。
でも、もし自分がハイネに負けたら一体何をハイネに上げればいいんだろう?
何もハイネより良い物一つ持っていないユウからハイネは一体何を戦利品にしたいのか。

「…じゃあ、簡単で分かりやすくて、俺にも分があるゲームを。」

ハイネはクスクスと上品に笑ってから、再びユウに挑発的で尚且つ美しい微笑みをなげた。

「…もちろん。じゃあ、どうだろう?至ってシンプルで、ユウが得意そうなのなんだけど?」

「…何?」

「今から声を出さずにすごす。
…ユウはとても上手そうだけど?」

ハイネが言うゲーム、確かに簡単だし、これなら誰でも出来る。
でも一体コレの何が楽しいんだろ…?
ユウがそのゲームに賛成しようとした瞬間、ハイネは忠告のように話し出した。

「…ただし、それ以外にルールは無い。
こんなゲームだから賭けるモノもそれなりに大きくないと面白くないだろ?」

ハイネの言う「それ以外のルール」の意味が分からず、ユウは聞かなかったことにして話を進めた。

「…ハイネは私から何が欲しい?」

「…じゃあ逆に訊くけど、ユウは何が欲しい?」

「……特に何も。」

「俺はあるんだけど?」

ハイネの声色が急に変わったような気がして、ユウはハイネに驚き見上げる。
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