急がば回れ。…回りたくない時もある。

□難関を越えた先は
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まずは映画。
遊園地。
水族館。
ふれあいパーク。
温泉・・・・・・はお互いが好きだがつまらない。
案外公園でもいいかもしれない。天気が良ければ。
最終的には俺んちでも良いかも。



考えれば考えるほど膨らむ想像。
もちろん何をそんなに悩んでるかと聞かれれば即答。



春海とのデート先。



別に俺らは付き合ってる訳ではない。
だからデートと聞かれれば曖昧だが、まぁそんな事は関係ねぇ。
ただクリスマスをきっかけにそういう仲になろうと思ってるだけだ。
他の高校生のようにな。


先に俺らの関係を説明すると。
事ある毎に俺ら2人足す何人かで遊び、相談事はお互いほぼ24時間受付中。
登下校も一緒。昼飯も一緒。たぶん違うのはクラスぐらいだ。

そこらの友達より仲が良く、恋人の一線を越えられない。
そんな文字通り友達以上恋人未満な関係。


・・・・・・誰だ今俺様に向かって他に比較する友達がいないだろって言った奴!
お前が知らないところで俺様は友達と常に楽しくやってるんだぜ! 知らないだろケセセ!

・・・・・・涙なんか出てねーよ! 汗だ汗!


そんなわけで俺は春海との関係を恋人に発展させたい為に、デートに誘おうと言うわけだ。
どうだ、超スーパー名案だろう。


しかしその為にどこに行こうか決めたいが、それがなかなか決まらねぇ。


悩み始めてかれこれ7時間。
昼前から考え始めていたが、外の明るさが変わってしまった。

ちなみに今の時刻は6時でもうそろそろルッツが夕食にしようと言い始める。
しかし賢明な俺は3時にたっぷりメイプルを掛けたホットケーキを食べることを忘れていないので腹は空いていない。


「兄さん、夕食だが・・・・・・」

「まだ要らないぜ」

「また3時に間食したのか!」


俺様の予想通りルッツが部屋に来て夕食を作ったと言ったが、俺はまだ考える事を続けたい。
ルッツが眉間にいつも以上の皺を寄せ怒鳴ったが、それもいつもの事だから気にしねぇ。

ただ夕食が抜きになるのは辛すぎるぜ。


「なぁヴェスト、今からだいたい一週間後ぐらいに結構前から気になってるすげぇ可愛い女子をどっかロマンチックで告白とか出来そうな所に連れて行きたいとか言ってる俺様の友達がいるんだけどよ」


俺様だけでもきっとすぐに思い付いたが、ここは大事な弟の意見も聞いておこうと未だ少しばかり怒ってるルッツに声をかけた。
もちろん俺様がクリスマスに春海をデートに誘いたいなんて思ってる事をバレないように巧く誤魔化して。

我ながら巧すぎる誤魔化し方に惚れ惚れしながら俺様は少し驚いた顔のルッツの返事を待った。
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