急がば回れ。…回りたくない時もある。

□アンハッピーハッピーバレンタイン!
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朝。

お気に入りのシルバーアクセサリーを並べて掛けたコルクボードの一枚のメモを見て。
そして携帯で時間を確認した後に俺の1日は始まりを告げる。


1LDKの風呂、トイレ備え付き。
家賃はそんなに高くない、良心的。
しかし交通手段である駅やバス停までは歩いて5分。
車は持っているがなかなか便利な立地条件。

とある知り合いの性格が悪いどっかの小説家とは正反対みたいな家である。
そんな俺の部屋の端でのびをして。


コルクボードに付いたメモに書かれている事は様々。
買い物リストの時もあるし、仕事相手の連絡先の時もある。

今日一番大切な事。
つまり本日のスープならぬテーマを掲示しているのだ。


そんな今日のテーマを確認。
時間は7時。




・・・・・・今日のテーマはなかなかにあれだ。
素材が悪いのか、作り方が悪いのか。
二度確認しても変わらない。

正直今日のスープは俺の苦手なタイプだった。


月に一度、もしくは二度訪れるこのスープは俺が見る度ダメージを受ける。
あえて言うならモンハンのにが虫みたいな。


今日のメモに書かれた字は俺の字ではない。
もう何万と見てきたその独特達筆では無いが汚くもないその字は、先ほど比較したどっかの小説家の字。

この俺オリジナルの習慣を知ってる唯一の彼女が昨日わざわざ会社にFAXで送った物だ。
もちろん上司に睨まれたのは小説家でも誰でもない俺である。


バレンタインデーで浮かれてる奴は氏ね


俺の言葉じゃない。
小説家の言葉である。


要約すると、会社に行く前に家に来いと言うわけだが。
何故わかるって・・・・・・長い付き合いなのだからしょうがない。


ああ体が重い。
なんで今日平日なんだよ。勿体無い。

きっと会社では俺にチョコを渡そうとしている女子がいるはずなのに。
なんでそんな春海のパシリの為に今日は早朝から車で行かねばならんのだ。


なんのため?
俺のいつもの生活の安泰の為。


下手に奴を刺激すると、暇つぶしと称して俺の携帯の容量を超える数のメールが届きかねない。
誰からでも一定時間一定以上のメールを受信するとかかる迷惑メール機能の盲点を付いた、ギリギリを見極めた頻度での空メールが。

しかも仮に迷惑メール機能が起動しようが、ほとんど人のアドレスが登録されていない彼女の携帯。
嫌らしくアドレスを変更してまで送ってくると言う始末。

そんな暇があるなら原稿仕上げろよ! このくそめ!
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