急がば回れ。…回りたくない時もある。
□書き直し計画、始めます。
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「これから定例会議を始めるぞぉ!」
「ばか! 生徒会長はそんな性格じゃねぇよ!」
「フランシス、生徒会室で女子とメールするのやめろアル!」
「だってモテちゃうんだもの」
「反対意見は認めないぞぉ! 会長はこの俺だぁ!」
「だれがお前なんか会長に認めるか!」
「我にも可愛い娘紹介しろアルよ」
「駄目駄目、今は女の子の立ち位置でしょ」
「うふふ、会議始めないの?」
こんにちは、失礼します。と気軽に扉を叩く事なんて到底できやしなかった。
九の字に曲げた手首を戻すことでたった今叩こうとした扉の前。
その向こう側から聞こえてきたのは、たいへん賑やかな学生さん方の声だった。
確かに今日は朝から嫌な予感はしていたのだ。
いつもは吝嗇な担当はわざわざ今回の為だけにお高いお土産持って仕事を頼みに来た。
朝から3回も転けるし、ここに来るまでに可愛い女の子も居なかったし、案内の人はおっさんだったし。
それと序でに。
学校長がいい加減であるから、もしかすると生徒会までもがいい加減なのかと予想していたら。どんぴしゃりだ。
自由な校風が特色だとは担当から聞いてはいたのだけれど。
ここまで自由だとはまるきり聞いてない。
となると、だから担当は来なかったのだろうか?
くそ彼奴め、許さん。
今度アイス奢らせてやろう。むっちゃくちゃに高いお店の高級アイス。
お土産だけであたしが満足すると思うなよ。
しかしそんな事をしたって後の祭りであって。
長めに吐いたため息が長い廊下によく響いた気がした。
・・・・・・兎にも角にも事態は最悪だ。今なら帰れるよね、帰ろうかなぁ。
帰ってアイスにポテチ入れて食べようかな。
なんて思ってしまうぐらいに。
この状況はきわめて逃げ出したい状況だった。
「これから定例会議を行う、意見がある者は?」
「アーティーが仕切るのがお兄さん気に入らないな」
「アーティーって呼ぶなばか!」
最早仕方がないとごくりと固唾を飲み込んで。
いざ、この喧騒の中に飛び込もうと騒がしさに負けないくらい強めに扉を叩いた。
さぁ来い現代っ子め。
自称、かもしれないがこのお姉さんが立ち向かってくれるわ! 勝てると思うなよ。