急がば回れ。…回りたくない時もある。

□すこしずれたへんごころ
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私は今、椿と二人きりでゲームに興じている。

勿論テレビゲームなんて目を悪くするだけの諸悪の根元はやらず、トランプと言う古から伝わる由緒正しきカードゲームである。
ちなみにババヌキをやっていた。


「ぬぐ」

「あ、椿それ駄目だよ! ババだよそれ!」

「・・・・・・水瀬」


もちろん私は大好きな椿の為に率先して勝ちを譲る。
椿は負けず嫌いだから、私が勝ってしまえば拗ねてしまうかもしれない。
いや、それはそれで可愛いが、まあ今日は勝ちを譲りたい日だったのだ。

たまにこてんぱんに負かせて涙目を見るのもすてきな目の保養ではあるが。


「なに? 椿」

「ゲームにならないじゃないか」


そう言った椿はわざわざババを抜き取っていってしまった。
ああ! 非常事態発生。椿が私に負けてしまう!


大慌てでババを取り戻そうとカードを引けば、ハートのエース。彼の手元に残る一枚。
私の手元からルールに沿って消えるカード。

上がってしまった。


「あーあ」

「あーあじゃないだろう! なんだこの張り合いないカードゲームは!」


喜んで欲しかっただけなのに怒られてしまった。
いや、怒った姿も可愛いし愛おしい。そのしわが寄った眉間をそっと触る。


「勝負は正々堂々とやるものだ」

「ごめんごめん」


若干不服そうではあるものの怒りが少し収まったらしい椿に抱きついた。

いやもう本当に可愛いどうしよう押し倒したい。
押し倒してハグしてキスして脱がせて羞恥プレイに興じたい。


「なんて事を言うんだ!」

「あ」


べり、とマジックテープをはがすみたいに私は椿からはがされた。
なんで椿が私の考えを読み取れたかわからないけどきっと私が繋がってるからだね。


顔が真っ赤な椿は可愛い。
彼を造った人は神に違いない。むしろ彼が神だ。
ゴッドだ。

そしてそんな彼に愛されている私は世界で、むしろ生けとし生けるものそうじゃ無いものすべてのなかで一番幸せ者だ。

残念だったな愚民ども、椿は私の嫁だ。


「そんな椿が大好きさ」

「・・・・・・・・・・・・」


黙ってる椿は照れてしまっている証拠だ。
目をそらして唇を軽く噛んで、必死に表情を抑えている。


そんな可愛い奥手さんな椿に私をプレゼンテーションだ。
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