急がば回れ。…回りたくない時もある。

□求めた先は
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書斎について最初に、鍵がかかってるのに気が付いた。
・・・・・・どういう事だこれは。


ガチャガチャと無理やり開けようとすれどもやっぱり開かない。
何なんだ。嫌がらせか、そうなんだな。


もう帰って二度寝しようと思った時に足元に一枚の紙。
どうやらそれは扉と床の僅かな隙間から出されたものらしいが。
今現在セットしているのか若干動いている。


「アーサー、開けて。居るんでしょ」


返事は無い。
無視されている。

むかつくのでまたドアノブをむちゃくちゃに動かしてから、やっと私は紙切れを拾い上げた。


そこにはまたアーサーの字で二言。



“いつも昼時、日の溜まりしくつろぎの場所へ向かえ。


そこに次の鍵あり。”



だからなんでちょっと古い言葉使いなんだよ。
憎たらしいと思いながら、だんだんとアーサーのやりたいことがわかりだした。

私が小さい頃大好きだったゲームによく似ている。
宝探しゲーム。

アーサーが幼い私相手によく難しいヒントを出してくれた。
難しすぎてなかなか見つからなかったけど。


また何故か今日もそれをしようとしているんじゃないだろうか。
まったくわけがわからない。

・・・・・・し、しょうがない、アーサーの悪知恵も、今の私には通じない事を教えてやろう。


日溜まりは・・・・・・多分家の外の事は差してないだろう。
アーサーの家の日溜まりか・・・・・・しかも昼だから東側と考えるのが妥当だが。
アーサーの家って日当たり良いんだよね。全体的に。

となると第二のヒントはくつろぎだ。
リビング、と考えて良いだろう。

そうだ、アーサーの家のリビングは庭の次に日当たりが良いじゃないか。
ここでは庭は論外、な筈なのでリビングに行くことにする。


多分今回の宝は書斎の鍵の事だ。
それを見つけて鍵を開けてアーサーにメリークリスマスと言えばゲームは終了するだろう。

なんだ案外簡単じゃないか。
アーサーも仕事があるし、当たり前か。


さぁ、さっさと片付けてしまおうじゃないか。
相変わらず寒いので凍えてしまいそうだ。
早急に二度寝しよう。


「なんだ、すぐあるじゃん」


隠し場所を思いつかなかったのかと聞きたくなるぐらいそれは堂々と存在していた。
リビングのテーブルの上。

しかし私が求めていたのとは大分違っていた。
そこにあったのは鍵ではなく。

次のヒントの為の鍵、だった。
なんだよ! 期待させられてしまった。


次のヒントは。



“白き新しき腰掛けにヒントありけり”



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・始めて見たわ実生活で古典の技術を使う人。
というかけりって過去を表すんじゃ?
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