急がば回れ。…回りたくない時もある。

□流星に乗って
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プロポーズされた。
なんでどうして、なにもそんな気軽にする事ないじゃないか。

運試しみたいなプロポーズなんて受け取って後悔しないだろうか。
寧ろこんなやり方本気にとってもらえないだろう。バカか。
大体フランシスはいつもチャラチャラしてるんだ。この前だって道案内頼まれただけで調子乗っちゃってさ。バカか。


「……何考えてたっけ?」


ぐるぐると疑問が渦巻く頭。それは酔いの所為でさらに回らなくって。
とにかく何か言わなきゃ聞かなきゃといきり立ち、部屋に入ってしまった彼を見た。

部屋の電気が消え、フランシスの姿を見失う。
数秒もしないで出てきた彼は、いつもと違う顔をしていた。


「こっちの方が見やすいでしょう?」

「あ……うん」


星を探すためだろうか。さっきの言葉に嘘はないようだった。
信じてなかった訳ではないけど、もしかしたら妄想だったかもとか。思ってた訳で。

ここはどう対応すべきなんだろう。


突然、背中がふわりと暖かくなる。驚いて肩を揺らすと、すぐ後ろに来たらしいフランシスにぶつかった。
前に回された彼の腕を握り、ちらりと彼を伺う。

眉根を寄せ空を睨むフランシスが見えた。


「……けっこん」


けっこん、結婚かぁ。
聞こえないように呟いた。未だに響きがしっくり来ない。
フランシスと同じ先に目線を動かし、星を見る。

私の後ろに居るフランシスは、何を考えて居るのだろうか。


今は取りあえずどうしてだとかの疑問を置いといて。

私はどっちがいいんだろう。


流れて欲しいのか、流れないで欲しいのか。突然の事過ぎて自分の事もよくわからない。
悶々と頭がもやもやしてしまう。今すぐ答えなんか出ない。

またちらりとフランシスを見上げる。まだ眉間にしわを寄せ、視線が忙しなく動いていた。
ああ、真剣に探しているのだろうなぁ。


いつもへらへら笑っているのに、こういう時にまじめな顔をするんだから。
ああでもそんな彼が好きになってしまったんだ、それで良いのだ。

……私もやはり、彼とその、一緒に生きていきたい。
フランシスが大好きなんだ。


星空を背景に見るフランシスは、私が愛してきたフランシス。
星が流れるのを祈らなければいけない。目を戻そうと首を動かした。

どうしてか、夜空が滲む。

「あ!」


ぎゅうと彼の腕に力が込められた。

視界の端に、一筋の光が流れて消える。
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