犬も歩けば棒に当たる。…私は何に当たる?

□サイ○人を目指す不審なヒーローと引きこもり成人女性
2ページ/7ページ



「・・・・・・はぁ」

「何でため息を吐くんだい! 嘘は付いてないぞ!」


これが嘘じゃ無ければなにが嘘だと言うのだ。
本日何度目かのため息をついた。

彼はあろうことか自分が異世界から来た人間だと暴露した。が、正直信憑性の欠片もない。
今時不審者も変な奴が多くなったものだ。なんて思いながらもう一度彼を見る。


「菊はちゃんと異世界にトリップするって言ってたんだぞ!」

「きっとその人はなにかキメていらっしゃったんだよ。さ、君も今から同じ所に行くからね」


もちろん行くところは精神科だ。こんなに痛い人始めてみた。・・・・・・但し過去の自分を除き。

だってトリップって。
その菊って人はオタなのかなぁと一人呟く。


しかし古典的な名前な人だな菊さん。お菊さんて呼んでも違和感がない。
女の人みたいな名前きっとさぞかし美しかろう。

なんて思いながらこの不審者はどこから来たのだと首を傾げる。
和風な菊さんとこの外国人はどういう関係なんだ?

そういや菊ってキャラいたなぁ……あたしが一時期すごくはまった漫画に。


「あ、言い忘れてたんだが、俺の名前アメリカだ! みんなからはヒーローとかリーダーとか呼ばれてるぞ!」

「まぁさぁかwwwww」


思わず語尾に嘲笑という意味のwwwを付けてしまう程、アメリカという名前にあたしは動揺してしまった。
だって今全てに心当たる物を思い出した瞬間だから。

この外国人の外見、しゃべり方、アメリカと名乗る理由、そして菊という人物。
もし彼が嘘を付いていないなら・・・・・・いやいや落ち着け自分。
もうwwwとか使ってる時点でだいぶ混乱してるが。


たった今アメリカと名乗った青年は、急に黙り込んだあたしに首を傾げる。
それを気にせずとりあえず深呼吸。


そして恐る恐る核心を突けそうな質問を青年に訊ねた。


「その菊って、まさか日本とか言う?」

「なっ、なんでわかるんだい!? もしかして君は超能力者! What It's cooooool!」


fuuuuu! とか叫ぶアルフレッドさんにいやいや頼むから落ち着いて下さい。あたしは長○さんじゃ無いんだよ。と心の中で宥めた。
ち、ちなみにあたしは○ルヒが大好きさ!



・・・・・・ほんとあたしも落ち着こう。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ